研究概要 |
介護施設では入居者の日常生活を観察した介護記録と「ひやりはっと報告書」と作成しているが,これらを併せて分析することにより、日常生活に内在するリスクの発見が可能となると考えられる。本研究では、高齢者リスクに注目したリスクマイニングシステムを開発し、現実の介護記録情報を用いてリスクマイニング手法の効果と有効性を,定量的に評価する。 H22年度は,高齢者介護施設のひやりはっと報告書と介護記録のデータベース化を行うと共に,介護記録の語彙分析を行うための形態素処理プログラムなどのテキスト分析環境の構築を行った.また,介護記録に使われる語彙の分布や介護者毎の語彙の差を,定量的に測定した.語彙の差は,介護者間で2倍以上異なる場合が有り,また介護者毎の表現の違いも大きいことから,構文解析を用いる詳細な分析を行うことは困難であることが予想された.そこで (1)介護記録を形態素解析し主要語彙の頻度リストを構成する (2)介護記録が作成された日時,当該頻度リストを入力として.トピック分析を行う というやり方で,介護記録の統計的特徴の変化をトピック変化として抽出することを目指すこととした. またトピック分析技術として提案されている様々なバリエーションについて技術調査を行なった結果,時間的粒度を変えて分析することができるMultistage Topic Tomographyと呼ばれるトピック分析手法を主要な分析に用いることとし,これに関して本研究で用いるソフトウエア環境を整備した.
|