研究概要 |
本研究は,限られたエネルギーにより効率的な温度制御を行う恒温植物ザゼンソウの温度制御機構を,工学および生化学の両面から解析し,その省エネルギー特性を提供するメカニズムの解明を目指すものである.本年度は,ザゼンソウの物理モデルを構築し,全体のエネルギー特性のシミュレーションを行うことを目指した. 国内の群落地より生体のザゼンソウを採取し,根部等の周囲温度を局所的に変化させたときの肉穂花序の温度変化を微細温度プローブで記録して時系列解析等によりその物理モデルを構築することを予定していたが,東日本大震災の影響などにより生体の採取ができなかったため,物理モデルの構築には至らなかった.ただし,局所温度制御装置などの,同実験に用いるハードとソフトは予定通り作製を完了した.また,数学的なエネルギーフローのシミュレーションのベースとなる部分の作成を,粒子法を用いて検討した.同手法は,有限要素法などの他の解析方法と比べて物質の動的変化の再現力が高いため,ザゼンソウのエネルギーフローをモデル化するツールとして適していると考えられる. 次年度は,同装置での実験から得られる生体の熱特性パラメータを実装したエネルギーフローモデルの構築を目指す.
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