研究課題/領域番号 |
22360172
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山尾 敏孝 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40109674)
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研究分担者 |
浅井 光輝 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90411230)
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キーワード | 石橋 / 模型実験 / 接触摩擦モデル / 静的解析 / 動的解析 / 圧力測定紙 / 周波数特性 / 2・3次元モデル |
研究概要 |
種々の石材を集め、石材の圧縮試験、乾燥密度試験、せん断試験等により材料特性を得、結果を既存のデータベースに加え、石橋を構成する石材データを収集することができた。また、石アーチ模型を使用した正弦波応答実験と地震波応答実験を行い、石アーチ模型の卓越振動特性と周波数特性を求めた。前年度の動的解析では精度の問題があった、今年度はこの問題を解決するため、石材の材料試験で得られたデータと解析手法の接触摩擦モデルを用いてより精度よく解析できる接触摩擦モデルを試行錯誤により求め、2・3次元静的および動的解析手法に導入した。この解析手法により、地震波を受ける場合の模型モデルの動的載荷試験結果と解析結果に非常に良い対応が見られ、解析精度の有効性を確認できた。また、実石橋の座標測定データから3次元解析へのモデル化および解析の実行も実施できた。今後は接触摩擦モデルの係数決定法を検討し、他の模型や実石橋に適用可能か検討が必要である。 一方、石アーチ模型の静的載荷実験では、スパン90cm、幅27cmで、スパン・ライズ比が0.2と0.35の模型を使用して実施した。特に、石材間の接触圧や圧力の分布方法を調べるため圧力測定紙を用いた。今年度は石材間の圧力分布とひずみゲージの測定結果を比較することにより、ひずみゲージは作用応力度を過少評価する傾向があることや石材が切れている場合、作用応力度が極端に上昇にすることが確認できた。つまり、実石橋では長いアーチ輪石の石材が折れている場合が散見されていることから、この石材損傷の発生の要因と考えられる。アーチ輪石の部材が折れるメカニズムの解明が可能と思われる。また、せん断挙動や静的変位挙動の解析も従来の手法と比較しても精度が向上しており、実石橋の3次元動的解析の実現に向けての準備ができた。今後、3次元解析も含め、モデル化や解析手法の改善が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石材に関する圧縮試験やせん断試験から材料特性データは収集でき、実石橋の座標測定データから3次元解析へのモデル化および解析の実行、模型実験の実施などほぼ予定通りの研究をすすめることができている。しかし、長大石橋の開発については少し予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
地震波を受ける場合の模型モデルの動的載荷試験結果と解析結果に非常に良い対応が見られたことより、静的・動的解析手法の目途が立った。今後は接触摩擦モデルの係数決定法を検討し、他の模型や実石橋に適用可能か検討が必要であるので、次年度は予定通り研究計画に沿って進める。長大石橋の開発については、もう少し時間が必要であり、解析手法の高精度化や有効性の検討、健全評価法の確立なども進める予定である。また、研究成果の公表も活発に行う予定である。
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