研究課題/領域番号 |
22360176
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺田 賢二郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40282678)
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研究分担者 |
京谷 孝史 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00186347)
車谷 麻緒 茨城大学, 工学部, 講師 (20552392)
皆川 浩 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10431537)
加藤 準治 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00594087)
樫山 和男 中央大学, 理工学部, 教授 (10194721)
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キーワード | 応用力学 / 計算力学 / コンクリート / 破壊力学 / 非均質性 / 有限変形 |
研究概要 |
コンクリート材料のメゾスケールおよびミクロスケールの非均質内部構造について、微細なひび割れ生成からより大きなひび割れに成長する過程および、ひび割れによってブロック化した部分構造の崩壊挙動までを、無用な近似を使うことなく忠実に数値的にシミュレートする数値実験を行い、コンクリート供試体の"構造強度"の発現メカニズムに対する非均質性の影響を再考するとともに、その"材料強度"の適切な評価方法を確立する目的のために、開発を進めてきた3次元破壊解析シミュレーション手法であったが、不連続性と接触・摩擦の扱いと、有限変形(回転)を含む幾何学的非線形性の扱いが整合せず、適切な現象再現が難しいことが分かった。したがって、メソスケールの数値シミュレーション手法には、内部の亀裂進展や摩擦挙動、および有限変形も同時にかつ統一的に扱うことのできる連続体損傷モデルを新たに採用した。特に、この損傷モデルは、引張には弱く圧縮に強いという強度異方性を考慮できる既往の研究で提案されたモデルであるが、本研究ではこれを有限変形問題に拡張した。したがって、当該分野においても新規の破壊解析手法であり、得られた計算結果も、亀裂進展や圧縮荷重下での内部構造の座屈挙動など、目的としているコンクリート材料のメゾスケールおよびミクロスケールの非均質内部構造の破壊挙動の再現に適した手法であることを確認された。また、前述の有限変形構成モデルを均質化法における数値供試体(代表体積要素の数値モデル)に適用して、コンクリート「材料」の挙動、すなわちマクロな挙動と、コンクリート「構造」の挙動、すなわち供試体レベルのメゾ(あるいはミクロ)挙動を区別した強度評価を可能とした。このように、メソスケールにおける非均質性と有限回転の影響がマクロな材料強度に与える影響の評価手法を構築できたことは次年度の以降の研究につながる大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、開発を計画していたシミュレーション手法の変更を余儀なくされ、急ピッチで開発を進めたが震災の影響もあり、実際の数値実験に割く時間が大幅に少なくなった。また、大規模演算を前提にしていたが、予算の都合で小規模の計算機しか用意できず、メソスケールの骨材とモルタルを明確に区別した実際的なモデルによる計算が実質的には不可能であることによる。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション手法を変更したが、3次元計算までできる形になったので、今後は、簡単な検証を終えた後、コンクリートメゾ構造の画像情報から3次元モデルを生成して、破壊解析のケーススタディを行う。特に、骨材とモルタルの界面での破壊挙動を、提案している連続体損傷モデルで表現出来る程度になったので、目的としている「非均質性」の影響を抽出よう、できるだけ小さい解像度(したがって、大自由度・大容量)のモデルでの計算を行うことを目指す。ただし、11の「達成度」で述べたとおり、予算内で購入できた計算機は小規模のものであるので、当初予定していたものよりも小さいモデルにならざるを得ない。したがって、完全3次元だけでなく、擬似3次元(2次元モデルの拡張)モデルでの解析も検討対象とする。
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