研究概要 |
本課題の目的は,コンクリート部材の内部構造(空隙,割れ,鉄筋位置等)を弾性波・電磁波を同時に利用して画像化する,全く新しいアプローチの検査システムを開発することである.それぞれの波動の特性を生かした統合イメージング手法を構築する.ここでは,超音波・電磁波を送受信する素子(アンテナ)をアレイ状に配列させ,アレイの各素子から波動を送受信する.各素子による波形は,全波形サンプリング処理方式(FSAP方式)によってPCメモリ上で合成され,集束ビームとなる.この集束ビームを用いてコンクリート内部の欠陥映像化を行う. H22年度は,(1)電磁波シミュレータの構築,(2)電磁波送受信装置の開発,(3)超音波送受信装置の開発の3点について研究を行った.素子を複数製作することは予算上困難であったので,送・受の素子を任意に動かせるような治具を開発した.これによってアレイ状に素子を配置したときと同じような波形取得が実現できた. (1)電磁波伝搬シミュレータである電磁界有限積分法(EMFIT)の構築を行った.EMFITはイメージベース処理と組み合わせることによって,コンクリート中の電磁波の伝搬をシミュレーションすることができる.H22年度は3次元シミュレーションを並列計算できるようにした. (2)電磁波計測用のハードウエアを設計・開発した.これは送信・受信アンテナの位置を任意に変更できるものであり,FSAP方式に対応している. (3)超音波計測用のハードウエアを設計・開発を行った.コンクリート用の低周波超音波素子を作成し,治具によって素子の位置を任意に変更できる.コンクリート供試体を作成しFSAP方式によって実際に超音波映像化したところ,人工欠陥を良好に再現できた.
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