研究課題
本年度は腐食損傷を受けた鋼桁の補強による機能回復を確認するため以下の項目について研究を実施した。1.補修・補強を施した小型実験供試体を用いて鋼桁のせん断耐荷力実験を行った。実験では、供試体の両側に載荷桁を高力ボルト接合し、2点載荷・2点支持することにより着目パネルにせん断力を与えた。支点は,桁面内の曲げに対して単純支持とし、供試体の横倒れ変形を防止するため各支点上に横倒れ防止枠を設置した。実験供試体は,健全タイプと腹板下部腐食亀裂模擬タイプの2種類の供試体を製作し、腹板下部腐食損傷タイプ供試体に薄板鋼板(SM490)及び超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を接着工法で補強を施した供試体を製作した。なお,補強はフランジと腹板下部部分を連続して補強材で接着して補強を行った.2.補修部材の基本性能を調べる目的で、JIS 1号試験片(SM490)の両側に表面研磨を施し、接着剤を用いて補強材(薄板鋼板、UFC、高強度炭素繊維)を接着した試験片を製作し、引張試験を行った。実験の結果,薄板鋼板及び炭素繊維で補修した試験片は母材の降伏荷重レベルを超えて剥離または破断した.UFC補修した試験片は、許容応力度の50%程度でひび割れが発生し,母材の降伏荷重を超えて剥離が生じた。3.小型実験供試体を用いたせん断耐荷力実験より、健全タイプ試験体は、着目パネルにせん断座屈が生じ、次に斜め張力場が形成され最大せん断力に達した.下部欠損タイプ試験体は、健全タイプ試験体と同様な挙動を示したが、下部欠損部から亀裂が発生し、耐荷力は健全タイプ試験体の83%に低下した.健全タイプ試験体の耐荷力を基準にすると、薄板鋼板を接着工法で補強を施した試験体は耐荷力が91%まで回復したが,最大荷重で接着剤の剥離が生じた。一方、UFC接着工法で補強を施した試験体は105%まで回復し、健全タイプの供試体の耐荷力を上回った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. of the Bridge Maintenance, Safety, Management, Resilience and Sustainability
巻: 6 ページ: 3812-3817