安定的且つ高い効率のワイヤレス給電を実現するため、平成23年度に共振整合機能を有したワイヤレス給電装置と構造物の健全性を定量的に評価する為の埋設型センサデバイスを開発し、室内実験によってその実用性を確認した。平成24-25年度は、本システムを実用展開していくための以下検討をおこなった。 (1)ワイヤレス給電装置の共振整合解析および容量調整の自動化(2)高周波電源装置の電源効率改善(3)本システムを実運用するための電波法関連試験 (1)給電対象物をRFIDによって自動認証し、そのトリガ信号によって給電装置のRRC(共振整合回路)の容量値を任意の幅でスイープさせインピーダンス特性と位相特性を解析することによって電力伝送効率が最大となるポイントを自動抽出し給電する装置を開発した。 (2)ワイヤレス給電装置の電源効率が当初6%程度であり、実用化していく上で大きな課題となっていた。効率改善には①スイッチング方式への変更②リニア方式のまま内部直流電源電圧の低電圧化および出力段以外での消費電力低減、以上二つの方法がある。電源効率はリニア方式に比べスイッチング方式の方が一般的に優れているとされるが、周波数帯域が狭く出力ノイズが大きいなどのデメリットもあるため双方の検討をおこなった。結果、リニア方式によって電源効率を50%まで改善させた。 (3)高周波電源は、電波法において“各種設備”に分類され、高周波出力が50Wを超えるものは総務省(各地方通信局)への許可申請が必要である。ところが、ワイヤレス給電に関する電波法の試験規格および基準が未整備のため、本来申請不要の50W未満であっても、暫定的に50W以上の高周波利用設備に適用される電界強度規定をクリアする 必要がある。そこで、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター松戸試験所でワイヤレス給電装置の電波法関連試験を実施した。
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