研究課題
本研究は、盛土や地中構造物の埋設土内に長年の雨水浸透の繰返しなどにより生成する水みちや内部浸食の形成、およびその進展メカニズムを解明することを目的とする。地中埋設管の破損に起因する地盤内空洞のような顕著な土砂運搬径路を有せずに発生する浸食を主な対象とし、地盤内の局所的脆弱部が土構造物・地中構造物全体の安定性へ及ぼす影響を検討すると共に、近年の気候変動や土地利用・社会情勢の変化に適応可能な、維持管理性や長期耐久性を考慮した土構造物・地中構造物の合理的構築・埋設・補修方法を提案するものである。今年度はまず、未固結地盤における繰返し浸透が地盤の脆弱化に対してどのような影響を与えるのか、要素実験で検討するため三軸試験装置の準備・改良を行った。また、異種材料境界面に発達しやすい水みちの形成過程を模型実験や透水試験にて検討した。その結果、地中躯体近傍の土の配列は通常部と異なるため局所的に透水係数が大きい可能性があると推定された。また、模型実験により、地中躯体は地中の水の浸透経路を場合によっては阻害し不均質な浸透が生じるため、躯体周りに水みちが形成され土砂流出が促進される可能性があることがわかった。さらに、急激な水の浸透にともなって地中に残存する空気泡の圧力が上昇し周囲の地盤を破壊する局所破壊現象が観察された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件)
地盤工学会誌
巻: Vol.59, No.1, 通巻636号 ページ: 10-11
地盤工学ジャーナル
巻: Vol.5, No.2 ページ: 219-229
巻: Vol.5, No.2 ページ: 349-361