研究課題
本研究は、盛土や地中構造物の埋設土内に長年の雨水浸透の繰返しなどにより生成する水みちや内部浸食の形成、およびその進展メカニズムを解明することを目的とする。地中埋設管の破損に起因する地盤内空洞のような顕著な土砂運搬径路を有せずに発生する浸食を主な対象とし、地盤内の局所的脆弱部が土構造物・地中構造物全体の安定性へ及ぼす影響を検討すると共に、近年の気候変動や土地利用・社会情勢の変化に適応可能な、維持管理性や長期耐久性を考慮した土構造物・地中構造物の合理的構築・埋設・補修方法を提案するものである。地盤に繰返し水が浸透することによって起こる土砂流出を定量的に把握するために、供試体からの細粒分の流出を許した特殊な透水試験を実施した。動水勾配がある閾値を超えると細粒分流出が始まる事、流出水の濁度を計測することにより細粒分流出の度合いを定量することが可能である事などがわかった。また、透水試験供試体に試験後に貫入試験を実施し、土砂流出量がわずかであっても供試体の剛性や強度は著しく低下する場合があることが確認された。一方、比較的均等な粒径の砂材料では、細粒分の抜け出しではなく供試体の体積膨張により密度低下(ゆるみ)が発生する。そのような状態を模擬するために、三軸供試体内にグルコースの塊を設置し融解させることにより人工的に“ゆるみ”を作成し、三軸試験で変形強度特性を調べた。水の浸透によりゆるみ部分は伝播・拡大し供試体の変形特性に局所的に影響するが、全般的なせん断強度に及ぼす影響は限定的であることがわかった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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