研究概要 |
粘土やシルトを多く含む弱な底泥が強い波浪に晒されると,底泥が波浪作用に追随し,波を打つような形状となることで底泥の表面に亀裂が発生する。その亀裂がドレーン効果を発揮することにより、大幅な含水比の低下と細粒分の減少が起こる.このメカニズムを明らかにするため、各種の条件で液性限界の1.5倍の含水比を有する底泥に対して波浪作用実験を実施した。その結果、以下のことがわかった。 1)底泥にとって厳しい波浪条件を与えることにより、1日の波浪作用で含水比が150%から90%に低下する現象が起こった。これはこれまでの実験における含水比低下量をはるかに上回っている。 2)波浪の大きさだけでなく底泥層内に発生するすべりが亀裂の発達特性に影響を与えている。底泥の降伏値τyを回転粘度計から求め降伏値を底泥のせん断強度として、円弧すべり解析によって求めた安全率は、本研究および既往の実験結果におけるクラックの発生と含水比の低下をよく説明した。 3)底泥の粒度分布を調査した結果,亀裂が発生していた場所では,5-10μm程度のシルト分粒子が深い位置から流失していることが確認された。 4)底泥層内の過剰間隙水圧の応答を調べるとともに,数値解析による検討を行い,波浪作用によって亀裂が発生する条件において,静水条件下の自重圧密に比べて大きな圧密が生じる原因を明らかにした。 5)巻き上げフラックスを調査し,巻き上げによる侵食量と圧密による地盤沈下量に関する考察を行った。
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