研究実績の概要 |
平成21年7月におきた山口県防府市の土石流災害では、表層地質が花崗岩で覆われた地域において、予想を上回る広域から土石流が発生し、想定以上の砂が流出し、多くの犠牲が生じることになった。そのため、花崗岩の風化残積土であるまさ土の土石流発生メカニズムとくに、土石流源頭での発生メカニズム、斜面崩壊から土石流への遷移メカニズムの解明が、今後の防災・減災のために必要である。そこで、本申請では、まさ土の土石流発生メカニズムの解明に関する一連の検討を行うものである。具体的には研究期間を通して,(1)乱さないまさ土の力学特性の把握と模擬地盤の作成方法の検討,(2)中型模型まさ土地盤に対する土石流の再現と土砂移動の把握,(3)土石流発生地における降雨量と地下水挙動の把握,(4)安定解析による模型実験の再現と力学挙動の理解,(5)(1)から(4)に基づく発生メカニズムの解明,を行う。 このうち平成26年度は(1),(3),(4)に対する検討が進められた。(1)まさ土の力学特性を把握するために開発した単純せん断試験機を用いてせん断強度を測定し、せん断強度式について検討した。(2)土石流を再現するために作成した模型実験装置および降雨量装置を用いて実験を行い、まさ土斜面の崩壊挙動に与える粒度特性の評価を行った。(3)3箇所の土石流発生地において現場計測を行い、間隙水圧計および雨量計を観測結果について分析した。(4)(1)および(3)で明らかになった力学特性および現場の地下水環境条件に基づいて安定解析を行った。
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