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2011 年度 実績報告書

団粒化による土の浸透特性を制御した減災・環境対策技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22360189
研究機関中部大学

研究代表者

杉井 俊夫  中部大学, 工学部, 教授 (90196709)

研究分担者 武田 誠  中部大学, 工学部, 准教授 (50298486)
キーワード団粒化 / 防災 / 環境技術 / 土壌圏現象
研究概要

近年の都市部においてヒートアイランド現象による気温の上昇,アスファルト舗装,コンクリート舗装による透水性,保水性の低下など様々な問題が発生している。このような問題を解決する一つの方法として雨水浸透貯留循環システムの設置が挙げられる。雨水浸透貯留循環システムとは団粒構造を有した土の層と貯水タンクを組み合わせた構造を示しており,通常の土よりも透水性および保水性が高いく,気温上昇の抑制,浸透能の向上,土地の有効活用など設置には多くの利点がある。しかし,これまで実用化が先行して降雨量(降水量)に対してどれだけの貯水が可能か,また気温上昇を抑えられるかといったその機構や定量的な検証については行われていなかった。そこで、本年度は、学内に雨水浸透貯留循環システムを設置し、水位、気象情報の観測を行い、降雨とタンク内の水位の関係を調べた。これにより、団粒化層内に貯水される水分も把握することができる。さらに、得られたデータをもとに不飽和浸透解析ソフトで貯水タンク上部を再現し、気象庁から得た過去の降雨データについてシミュレーション4を行って、貯水タンクへの浸透について調べることとした。その結果、降雨量の約66%が貯水タンクに貯水されることがわかり、30%程度が団粒化層に保水されることが明らかになった。また、時間雨量で30mm以上の降雨がある場合に雨水貯留タンクの水位が上がることが得られ、それ以下の場合には、表層の団粒化層に保水され蒸発していくことが推察された。さらに逆解析による雨水貯留タンクシステムの浸透パラメーターを同定し、降雨パターンを変えてシミュレーションを行った結果、タンク内への流出は総降雨量の3割から4割程度であり、降雨が短時間に集中して降る雨、つまり側方への流出が最も多いと思われる雨について最低でも3割から4割の降雨をタンク内に貯水できることが今回のシミュレーションからわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目に入った研究では、特に、団粒化層の下に設けた雨水地下貯留タンクの貯水量と降雨量の関係を調べ、時間雨量30mm程度の降雨があった場合にタンク内に貯水し、降雨パターンによって異なるが少なくとも雨量の30-40%が団粒化層を通過してくることが観測とシミュレーションから得ることができ、順調に進んでいると判断できる。

今後の研究の推進方策

最終年度は、1.団粒化材料の浸透能のデータベース構築、2.大学キャンパス内における団粒化材用いた透水性舗装路盤の試験施工、3.将来予測される豪雨に対する浸透能改良地の面積の算定と簡易地下貯留ダムの年間貯留量の推定を実施、本研究のまとめを行うこととする。
特に、透水性舗装路盤については、タイの洪水のような都市の浸透能を高めるだけでなく、アスファルトの温度上昇の低下にも寄与できるかを、従来の透水性舗装との比較検討していく。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Measurement Method for Hydraulic Properties of Unsaturated Ground using the Dynamic Soil Moisture Distribution Model2013

    • 著者名/発表者名
      Sugii, T., Yamada, K., Asano, N., Yamada, Y.
    • 雑誌名

      Proceedings of 18th International Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering

      巻: (Accepted)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identifying Location Of Rockfall Sources By Topographical And Geological Conditions2012

    • 著者名/発表者名
      Asano, N., Sugii,T., Yamada, K.
    • 雑誌名

      Proceedings of International Conference on Ground Improvement and Ground Control

      巻: (in printed) ページ: 6P

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 水地下貯留タンクの貯水深と降雨強度の関係2012

    • 著者名/発表者名
      杉井俊夫・山田公夫・馬貴臣・市村和哉
    • 雑誌名

      総合工学(中部大学総合工学研究所紀要)

      巻: 24 ページ: 36-41

  • [雑誌論文] 都市域の内水氾濫モデルの検討と浸水時対策への応用について2011

    • 著者名/発表者名
      武田 誠・高橋俊彦・長尾佳幸・平山康典・松尾直規
    • 雑誌名

      土木学会論文集B1(水工学)

      巻: Vol.68 ページ: I_1015-I_1020

    • 査読あり
  • [学会発表] 浸潤前線と飽和前線の推定に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      山田雄太・杉井俊夫
    • 学会等名
      第47回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      八戸工業大学
    • 年月日
      20120715-20120716
  • [学会発表] 雨水貯留タンクの貯留深に対する降雨強度への影響2012

    • 著者名/発表者名
      市村和哉・杉井俊夫・山田公夫・方方
    • 学会等名
      第47回地盤工学研究発表会
    • 年月日
      2012-07-16
  • [学会発表] 原位置不飽和浸透試験のための水分分布推定の試み2012

    • 著者名/発表者名
      杉井俊夫・山田雄太
    • 学会等名
      平成23年度土木学会中部支部研究発表会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2012-03-08
  • [学会発表] 中部大学における雨水地下貯留タンクの観測2011

    • 著者名/発表者名
      杉井俊夫
    • 学会等名
      公益社団法人科学技術交流財団
    • 発表場所
      中部大学
    • 年月日
      2011-11-11
  • [学会発表] 都市域の内水氾濫解析モデルの検証と適用につい2011

    • 著者名/発表者名
      長尾佳幸, 武田誠, 松尾直規
    • 学会等名
      上木学会第66回年次学術講演会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2011-09-07
  • [備考]

    • URL

      http://www.chubu.ac.jp/about/faculty/profile/4e78190116d23e106f9a732f9d7120c8d5662b66.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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