研究概要 |
我が国では,各地で深刻な海岸侵食が進行しているが,構造物設置や養浜など対策工の効果を予測する適正な手法が未開発のため,予防的対策の着手が難しく,対応が後手に回り費用を増大させるという悪循環が見られる.本研究は,この問題の解決を目指し,高い精度と広域への適用性の両方を備えた準3次元土砂輸送モデルの開発と,このモデルを利用して得られる効率的土砂輸送制御技術の提案を目的とする. 真野は、準3次元土砂輸送モデルを構築するための前段階として、準2次元土砂輸送モデルの構築を行った。砕波による乱れ拡散を考慮した渦動粘性モデルを提案し、砕波減衰、流動場、浮遊砂輸送場、砕波帯における海底地形を精度良く予測できることを検証した。これらの成果は、SCI Journalに投稿し、印刷中である。また、現地高波浪時の流動場・土砂輸送場を測定する、流速プロファイラと濁度計を山元海岸に設置し、冬季2ヶ月間の現地観測を行った。幸い、津波来週1週間前に機器・データとも回収し、23年度はこの解析を行う予定である。 田中は、浅水流方程式に乱流モデルを組み込んだ準2次元モデルを開発し、底面せん断力の評価や陸上遡上が精度良く再現できることを検証した。 有働は、後浜において飛砂の観測を行い、飛砂限界シールズ数や飛砂フラックスを定量的に評価するためのパラメータ設定、経験式を提案した。これらの成果は、国内外の学会およびSCI Journalに公表した。
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