研究概要 |
超音波風速計による地上の乱流計測とシーロメータによる大気境界層計測を同期させることにより,境界層高さを用いた都市接地境界層乱流の新たなスケーリング則(相似則)を提案することを目的として研究を遂行している.平成22年度は,境界層高度と地表フラックスの長期連続計測システムを構築し,得られたデータに対して初期的な解析を行った. 1)境界層高度計測 境界層高度の検知に十分実績のあるシーロメータを新規に購入し,愛媛大学キャンパス内の建物屋上にシーロメータを設置した.観測は24時間連続観測とし,観測データは屋内に設置されたPCに自動収録した.境界層高度の日変化や相対湿度依存性などを確認し,シーロメータの出力結果の妥当性を検証した. 2)地表フラックスの長期連続観測 地表フラックスの測定システムについては,都市域と郊外(水田)の2地点において長期連続フラックス観測システムを構築した.都市域については無線通信用のタワーを借用し,地上28mに放射収支計,超音波風速計,オープンパスガスアナライザを設置し,フラックス計測システムを構築した,また郊外(水田)にも土地を借用して,地上2mにおいて同様なフラックス計測システムを構築した.土地利用の違いに起因して,2地点の地表面熱収支は大きく異なっていることが確認された.また気温や湿度の空間分布の観測結果と比較したところ,松山で生じるヒートアイランド現象の形成に,2地点間の地表フラックスの差異が大きく影響していることが明らかになった.
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