研究課題/領域番号 |
22360199
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山田 文彦 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60264280)
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研究分担者 |
辻本 剛三 神戸市立工業高等専門学校, 教授 (10155377)
由比 政年 金沢大学, 理工研究域 環境デザイン学類, 教授 (20262553)
柿木 哲哉 神戸市立工業高等専門学校, 准教授 (50353298)
沖 和哉 京都大学, 先端技術グローバルリーダー養成ユニット, 講師 (30293880)
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キーワード | 底質輸送 / 沿岸環境 / X線CT / 地形変化 / 沈降速度 / ラグランジュ計測 / 現地調査 |
研究概要 |
岸沖方向の地形変化モデルはこれまでも多くの研究がなされてきたが,依然としてその予測精度は十分ではない.最近、移動床実験の底質コアサンプルに産業用X線CTを適用し,底質内部構造をより詳細に計測する方法が提案され、漂砂量フラックスを局所的に修正する方法が示された.しかし、従来のCT装置は1断面の撮影時間に数分を要し、また、コアサンプリングが必要であるため、漂砂濃度の鉛直分布と底面形状やその内部構造との関係を同時に連続計測することが困難であった.そこで本研究は、撮影の時間分解能が高い医療用X線CTを用い、移動床実験装置と組み合わせることで、波作用下での漂砂の鉛直分布や地表面形状ならびに底質内部構造を同時に、かつ連続的に計測する方法を開発し、従来の知見と比較を行なった.主要な結果は以下のとおりである。1.底質の撹乱深さを推定するため、3.5時間後のCT画像と初期画像の差分を取った.差画像よりバー岸側の表層で密度増加が顕著であることがわかる/図では表層以外でほとんど大きな相対密度変化を起こしていないことから,表層の密度変動層の厚さは6~9mm程度であるMadsen(1974)は撹乱深さが砕波帯において砕波波高の11%と提案したが、今回の計測では砕波波高の16~24%(砕波波高3-8cm)で分布し、波の条件以外にも海底地形の影響を受けて変化する.2.砕波帯外でば漂砂密度の鉛直分布の時間変化は小さく、底面から上方に向かって指数的に減衰し、純水のCT値である0に漸近している.一方、砕波帯内では漂砂密度の鉛直分布の時間変化は特に底面付近で顕著である.また、砕波帯外と比較すると底面から上方に向かってのCT値の減衰は小さく、200程度の値で水面付近まで分布しており、砕波による水面からの乱れの影響がよく捉えられている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査、室内実験共に順調に実施されており、データが確実に蓄積できている。 また、データ分析結果からの数値モデル化も着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向かって研究分担者を含めた全員が着実にデータを蓄積できており、データ解析も順調であり、研究の推進状況はなんら問題はない。.最終年度は研究ミーティングを頻繁に行いながら、新たな数値モデルの提案とそれら研究成果の取りまとめわよび論文執筆を着実に実施する。
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