研究課題/領域番号 |
22360200
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
萩原 亨 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60172839)
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研究分担者 |
浜岡 秀勝 秋田大学, 工学資源学部, 准教授 (70262269)
宗広 一徳 (独)土木研究所, 寒地土木研究所・寒地交通チーム, 主任研究員 (00414194)
武本 東 (独)土木研究所, 寒地土木研究所・寒地交通チーム, 主任研究員 (00442872)
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キーワード | 歩行者 / 交通事故 / 予見時間 / ドライバ / 右折 / 交差点 |
研究概要 |
平成23年度に、実交差点での歩行者横断実験を行い、交差点横断歩道における右左折車と歩行者の錯綜場面の詳細な危険条件を、歩行者のリスク認知行動の視点から抽出した。リスク認知距離の分析から、リスク認知距離を短くする状況は、右折R型×高齢者×夜間と左折L型×若年者×昼間、左折R型×高齢者・若年者×夜間であることが示された。横断歩道進入車両への事前からの注意行動の分析から、車両へ注意を払わない傾向が強い状況は、高齢者、若年者共に昼間の左折L型の場面であった。その傾向は、高齢者の場合、特に顕著であった。一方、若年者は左折L型×昼間のほかに、右折R型×夜間、左折L型×夜間でも注意を払っていない傾向が強かった。 高齢者は、右折R型の場面で、夜間になるとリスク認知距離が短くなった。一方、車両への事前注意は夜間のほうが昼間よりもよく行っていた。夜間の右折R型では、高齢者は右折車が来ると予想できているにも関わらず、実際に接近してきたことに気が付くのが遅いことになる。この高齢歩行者の交通行動に有効な支援の一つとしては、歩行者に合わせた適切な夜間の道路照明の配置及び照度の設定を提案する。これにより、夜間であっても車両との距離感覚を適切に保つことができ、車両の接近に早めに気付くことが可能と考える。また、左折車は右折車と違い、歩行者により近い車線を走行しており、左折開始から衝突点までの距離が短いため、歩行者は事前からの車両への注意が必要と言えた。 年齢層、昼夜、右左折による横断行動のリスクが異なり、接近してくる車両に対する認知行動が異なることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23度、研究実施計画したように実車実験を実施し、右左折車が混在する中での横断歩行者の回避行動を明らかにした。具体的には、若年者グループと高齢者グループによる交差点横断実験をテスト走路にて行い、衝突の可能性のある右左折車を横断歩行者が認知する行動について明らかにした。さらに、警戒するが危険度の認知が低いことを高齢者の特徴であることを見出した。これから、交差点横断時の歩行者への安全支援の必要性を指摘した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の一つの成果となる歩行者視点の望ましい接近車確認行動を明らかにできていない。望ましい接近車確認行動に必要な情報は実験により取得できている。その結果を踏まえ、平成24年度は、安全な横断歩行モデルの構築を行う。
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