研究課題/領域番号 |
22360203
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高山 純一 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (90126590)
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研究分担者 |
中山 晶一朗 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (90334755)
西野 達也 金沢大学, 環境デザイン学系, 助教 (90403584)
稲葉 英夫 金沢大学, 医学系, 教授 (60159952)
柳沢 吉保 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (70191161)
二神 透 愛媛大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (40229084)
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キーワード | 救急医療 / 過疎地・半島地域 / プレホスピタルケア / ドクターカー / 高速救急車専用退出路 / ドッキングポイント / デジタル伝送システム |
研究概要 |
地域医療の崩壊が叫ばれる中、救急搬送サービスの地域格差も大きな問題である。特に、中山間・半島過疎地域の救急搬送サービスは、都市部に比べて医療機関から遠く離れている場合が多く、3次救急搬送の場合、特に大きな課題といえる。そのような中で、病院前救護(プレホスピタルケア)は、非常に重要な役割を持っており、重篤な傷病者の救命率向上に、極めて大きな影響を持つ。しかも、救命率向上を図るためには、救急車と救急病院の連携強化が不可欠であり、救急医療情報のデジタル無線伝送システムの高度化がその鍵を握るといわれている。づまり、救急車から救急病院へ「傷病者の様子(動映像)」と「救急隊員(救急救命士など)の活動状況」ならびに「バイタルサイン(心拍数などの医療情報)」をデジタル無線伝送することができれば、医師の適確な指示(救命処置)が可能となるとともに、救急専門医師に指導・助言を要請することも可能となる。 今年度は、(1)3次救急医療機関から離れた奥能登地域を対象に、ドクターカーシステムの導入可能性調査とその効果把握(効果予測)を行った。また、(2)高速道路の建設工事用にもうけられた工事用搬入路を救急車専用の退出路として再整備し、「高速道路救急車専用退出路(ETC専用)」として設置した場合の効果予測も行った。さらに、(3)救急業務用の高度医療無線伝送システムのアンテナ設置位置の最適化検討システムの開発も行った。 また一方、(4)実際の救急搬送実態を把握し、その救急搬送を阻害する要因を把握する目的で、救急車に設置したGPSとビデオカメラ画像の解析も同時に行った。また、(5)災害発生時(地震発生時)の道路状況の被災状況を考慮した救急搬送体制のあり方については、東日本大震災をケーススタディとして検討を行い、救命率向上にどの程度貢献できるのか、その可能性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、地域住民の医療・福祉情報のデータベース化の可能性について、検討することになっていたが、やはり個人情報保護法の関係で、実際の地域住民の上記情報(医療・福祉情報)を入手することができなかった。ゆえに、大学等の研究機関のみでは、データベースの作成は不可能に近く、実際にデータベース化の検討ができていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、大学等の研究機関のみでは、地域住民の医療・福祉情報を入手することができないので、地域(市町)と連携して、研究できないかどうか、今年度検討してみたい。もし、地域との連携が不可能であれば、仮想的なデータを作成し、それを使ったデータベースの構築を検討する予定である。 また、一方、地域公共交通の実態から地域住民の生活パターンを想定し、通院・デイケアサービス等の医療・福祉・介護情報と交通パターンとの関連分析を行いたい。そうすることにより、救急要請の潜在需要の予測、書来的に人口構成が変化することを想定した最適施設配置計画の検討も行いたい。
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