本研究は、災害時に被災地を走行する車両から、点あるいは面的な道路被害を推定するアルゴリズム開発と、そのアルゴリズムを組み込んだ車載器センサーと道路被害推定プロトタイプシステムに求められる仕様を明らかにすることを目的としている。 平成22年度は、過去の地震災害や土砂災害による道路被害について調査し、これまでに収集した車両走行データを見直すことにより、車両異常走行パターンについて再検討した。GPS、3軸加速度の高精度センサーを組み込んだ計測装置を用いて、橋台部での段差走行、切土/盛土の崩壊による片側通行等、道路被害箇所の異常車両走行実験を計画し、実施した。人工の段差と供用前の道路を走行する実験を、複数の種類の車両を用いて、複数のダライバーで実施し、異常走行の基本データを収集してデータベース化した。さらに収集した異常車両走行データの分析より、異常走行を再現できる力学モデルの抽出に成功した。 過去の水害時の道路浸水被害と行政の対応について、2009年7月における九州北部に豪雨災害を対象に福岡県、福岡市にヒアリング調査を実施した。野村総合研究所の協力を得て、同水害時のタクシープローブデータを入手し、地理情報システム上で可視化するとともに、浸水被害とプローブデータの特徴。平常時との差異について分析した。 クライストチャーチ地震における液状化に起因する道路被害調査を実施し、新たな道路被害パターンを見出すことができた。
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