研究分担者 |
岸 邦宏 北海道大学, 工学研究科, 准教授 (60312386)
倉内 文孝 岐阜大学, 工学部, 准教授 (10263104)
後藤 玲子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (70272771)
辻本 勝久 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40335500)
谷本 圭志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (20304199)
|
研究概要 |
本研究は,活力ある地域社会の実現に向けて住民の生活を交通の面からどのように支えるべきかを体系的に整理したものが地域公共交通計画であるとの認識の下で,「活動機会の保障水準」という観点から地域の実情に応じたサービス提供システムのメニューを立案し,地域住民が自らの負担とのバランスを勘案して施策を選択する,というアプローチに基づき,地域が自らの手で地域公共交通計画を策定するための計画方法論を開発することを目的とするものである 22年度は,まず,研究代表者らによる地域公共交通計画策定方法論の需要者側評価構造の部分を改めて吟味し,潜在能力アプローチ(Sen,1970)と認知的ホメオスタシス理論(Cummin,2000)を援用することにより,活動機会の獲得水準に着目した生活交通サービス評価方法の枠組みとして再構築した,これは,(1)評価対象とすべき活動機会の選定,(2)個人の活動機会の獲得水準の測定,(3)活動機会の獲得水準に対する個人的評価,(4)活動機会集合の獲得水準に対する個人的評価,(5)活動機会集合の獲得水準に対する社会的評価,というプロセスから構成されており,社会選択の際のアローの一般可能性定理を満たすものであるため,シビルミニマム水準を満たす活動機会が必ずしもを確保されていない過疎地域等において,小規模なコミュニティの住民らが生活交通サービス水準を自ら適切に選択しうることの理論的基盤となるものと考える.また,公共交通の持続的利用可能性に対する住民の評価構造を曖昧性回避性向に留意してモデル化し,いくつかの地域で実施した意向調査のデータを用いて分析を行うことにより,地域の高齢化率が若年層の支払い意思額に影響を及ぼしている可能性を見出したほか,通院と往診,商業施設へ出向く買物と移動販売など,交通サービスとそれ以外のサービスの役割分担に関する検討や,効率性から見た地域特性と運行方式の関連分析等を行い,興味深い知見を得た
|