研究課題/領域番号 |
22360208
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
馬場 俊介 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10111832)
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研究分担者 |
樋口 輝久 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (20304339)
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キーワード | 土木遺産 / 近世以前 / 江戸 / 景観法 / 交通遺産 / 農業遺産 / 治水遺産 / 地域資源 |
研究概要 |
本来の研究の目的は、全国の古代~江戸期までに造られた交通(街道、河川舟運、海運)、産業(農業・飼馬業、漁業、鉱業)、防災(海岸、河川)、生活(上水)、行政(測量)、軍事(台場、狼煙場)関連の遺産群の全貌を、各種のデータ調査により初めて明らかにすることであった。そして、できる限り多くの遺産に対し現地調査を実施し、個々の遺産種別に適した価値評価の基準を樹立し、その結果を映像とともにWEB上で公開し、その高い資産的価値を周知させることが最終的な目標であった。平成22年度の段階で、北海道(一部)、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、新潟、群馬(一部)、茨城、東京(一部)、山梨、岡山、福岡、熊本、沖縄をWEB公開した。平成23年度には、大阪・三重(H23.5.14-15)、和歌山・大阪・兵庫(H23.9.26-28)、愛知(H23.10.15-16)、愛知(H23.11-12-13)、和歌山(H23.11.25)、三重(H23.12.10-11)、香川(H23.12.20)、大阪(H23.12,30)、大阪・京都(H24.1.17-18)、高知・愛媛(H24.2.13-15)、徳島・香川(H24.2.18-19)の計11回、のべ21日間の現地調査を実施した。調査地点数は454ヶ所に達する。これらの結果、及び、過去に行った現地調査の結果を総合し、さらに、可能な限りデータの精査を済ませた後で、新たに東京(完全版)、長野、愛知、三重、岐阜、富山、大阪、和歌山を公開した。今年度追加した8都府県では、東京、長野、愛知、三重、大阪、和歌山が400-1000件と最大級であり、公開県数が少なかったのはやむを得ないと考える。なお、既公開となった都道府県においては、『景観法』に立脚して景観行政団体が個々の景観条例を作成するにあたり、見落とされがちな土木関連の遺産を、「地域の歴史と文化」を体現する資産として保全・活用する際に活用できる状態に到達した。この種のデータの集積・公開は本邦初の事象であり、これら遺産群の立場が、「価値が認識されていなければ、何のためらいもなく更新される」状況にあることを思えば、WEB上での公開は、認知度が上がればきわめて重要な社会的貢献であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国47都道府県中、WEB上で公開された都道府県は23であり、その中には、件数の多い東京、愛知、大阪が含まれているため、ほぼ半数に達したと理解している。4年の研究期間の中間点で半数公開であり、目標は十分に達成されていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、WEB上に上がっていない府県の公開を順次進めていくが、平成24年度の前半には四国4県と島根、後半には京都、兵庫、鳥取、広島、山口は確実に公開し、その他滋賀、奈良、北海道と群馬の全体(今は一部)を想定している。これらが完成した時点で記者会見を行い、周知徹底を図ることを考えている。
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