研究課題/領域番号 |
22360210
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
外井 哲志 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20201650)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 道路案内標識 / カーナビゲーションシステム / 経路情報 |
研究概要 |
走行中の運転者の心的負担が最小になる「標識モード」のアルゴリズムを考察するため、まず、案内標識の案内および配置を与件として、運転者が案内標識の情報を用いて予定経路を走行する「ドライバーモデル」の試作を行い、その精度を実験結果を用いて検証した。また。心的負担が最小になるルート案内の方法を決めるアルゴリズムの検討も行なった。この場合、ルート案内で示される経路は、従来の最短経路のルート案内や幹線道路に誘導する案内などとは異なり、案内標識の配置状況がルート案内に大きく影響することとなる。運転者の心的負荷の評価は構築した理論式を用いることになるが、このとき、心的負荷の減少と走行距離の増加を他のモードと比較したうえで運転者に示し、運転者が自らモードを選択する方法をとることとする。 次に、標識モードのルート案内で必要になる案内標識のデータベースを試作するため、データベース構造、案内情報の種類について検討した。対象地域は福岡市とし、市内の主要なODペアを数組とOD間の経路をそれぞれ複数抽出し調査する。調査の方法は、これらの経路上の案内標識を実走行によって写真撮影し、それを道路管理者が保管している案内標識台帳と管理用データの参照によって行った。入手した案内標識の情報を記号化し、DRMデータのリンクの属性として入力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「案内標識とカーナビの連携による新しい道路案内システムの構築」を目的とするが、そのため、次のような点を明らかにしてきた。 「不整合の情報を与えられた運転者の心的負荷」の実態を明らかにするため、まず、生理心理学的方法を用いて、迷走状況における運転者の心的負荷(ストレス)の大きさをアイマークレコーダーを用いて瞳孔径と瞬目を計測することで明らかにした。次に、運転者が経路を走行する上で、いかなる案内情報の組合せによって心的負担が発生するかを分析するとともに、心的負荷の計測値の経路上での統合方法を考察した。さらに、案内標識の案内および配置を与件として、運転者が案内標識の情報を用いて予定経路を走行する「ドライバーモデル」の試作を行うとともに、標識モードのルート案内で必要になる案内標識のデータベースを試作を行なった。そして最後に、多くの経路が集まる道路網全体で、前述の分析結果にもとづき、心的負担が最小になる案内標識とカーナビの連携のあり方を到達率の考え方の基づき評価できるモデル考察した。 以上のように、本研究の目的である「案内標識とカーナビの連携による新しい道路案内システムの構築」に関して、必要な事項の基本モデルをほぼ作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度で述べたように、現段階で、本研究の目的である「案内標識とカーナビの連携による新しい道路案内システムの構築」に関して、必要な事項の基本モデルをほぼ取り揃えることができたので、今後はこれらのモデルを連結し、仮想の状況を設定して経路誘導のシミュレーションを行なうことにより、ドライバーの心的負荷や目的地への到達度の評価を行う。また、平成25年度が最終年度であることから、研究全体の取りまとめを行なうとともに、未発表の研究内容および最終段階の研究の発表を行なう予定である。
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