研究概要 |
平成23年度は、本研究に関して、査読論文3編、査読なし論文1編、口頭発表10編の研究成果を発表した。日常生活用品からの溶出機構の解明では、国内のある廃棄物最終処分場において浸出水と各種処理工程前後の採水を行い、数千ng/LレベルでのPFCs浸出や、各種処理工程において処理困難なまま海に排出されていることが示された。また、ベトナムダナンの廃棄物埋立場の浸出水からも数百ng/LのPFCsを検出した。大気降下物中の現存量の把握では、GC-MSによるフッ素テロマー(8:2FTOH, 6:2FTOH, 4:2FTOH)の定量が可能となった。10:2FTOHについても定量できる前段階に到達した。また、フッ素テロマー関連の工場内にハイボリュームエアサンプラーを設置する許可を受けた。海外でのサンプリングについては、タイ王国バンコク北部の産業地帯でのサンプリングを計画中である。下水処理場で処理困難な化学物質に対する新規処理方法の提案では、日本およびベトナムダナン市の下水処理場および産業廃水処理場にて処理工程別に採水を行い、処理場における動態を検討した。その結果、従来の処理工程では除去が困難なこと、および生物反応槽にて濃度が上昇する傾向にあることが示された。処理方法の検討では、UV照射によるペルフルオロカルボン酸の完全分解条件を明らかにした。また、PFCsを選択的に除去するイオン交換ポリマーを見出し、実産業廃水を対象に、その処理効果を検討中である。浄水場で処理困難な化学物質に対する新規処理方法の提案では、低濃度(100ng/L)のPFOSを選択的に99%以上除去する有機NF膜を見出した。
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