研究概要 |
グラム陰性細菌として2種、1) Cupriavidus necator KT-1(土壌浄化での現場利用実績),2) Pseudomonas aeruginosa PAO1、グラム陽性細菌として2種、3) Bacillus subtilis 168,4) Rhodcoccus erythropolis IAM 1399、を河川水に添加し、土着の原生動物による捕食試験を行った。捕食後の試験サンプルから18S rRNA遺伝子をPCR増幅し、T-RFLP解析により出現した細菌捕食性原生動物の種類の数を把握すると共に、クローンを取得、塩基配列を決定し、系統解析を行った。その結果、捕食後の原生動物の種類は1~2種類の場合が多く、かつSpumella属に近縁な原生動物が被食者の種類に係わらず高い頻度で検出され、環境中の重要な捕食者であることが明らかとなった。 続いて、これらの細菌捕食性原生動物を希釈法により純化し、合計5種類の原生動物を単離した。その内の1種類を利用して、原生動物1細胞の増加に必要な被食者細菌数を求めると共に、18S rRNA遺伝子の定量解析のため、real-time PCRによる高感度検出法の確立を検討した。その結果、得られた全てのクローンに共通な配列部分を利用して、再現性の高い検出法を確立することができた。今後は、この手法を基に、全ての単離原生動物の解析を行っていく。また、18S rRNAの塩基配列が同じ場合でも、ITS配列(PCR増幅)には差があることがあり、より精度の高い分類が可能であることが明らかとなった。
|