研究課題/領域番号 |
22360216
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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研究分担者 |
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (80194033)
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 准教授 (20324014)
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キーワード | 特定微生物 / 原生動物 / real-time PCR / 18S rRNA |
研究概要 |
特定微生物を環境浄化に利用する際、多くのケースで自然環境中の原生動物による捕食を受け、導入された特定微生物は速やかにその数が低下、浄化への寄与が著しく低くなる。本研究では、この現象の機構を解明し、最終的には工学的な対策法を確立する。本年度は、以下の4項目について成果を得た。 (1)自然環境中の細菌捕食者の分布調査 複数種(6種類)の細菌を被食者として捕食実験を行い、河川、湖沼、地下水に生息する捕食者(原生動物)の種類を18S rRNA遺伝子により明らかにした。その結果、環境サンプルの由来や被食者の種類に係わらず、殆どのケースでSpumella属に近縁な原生動物が主な捕食者であった。 (2)細菌捕食性原生動物の単離および捕食特異性の解析 捕食実験により出現した原生動物を、被食者である細菌によって集積した上で、希釈法によって純化、単離した。現在までに10種類の原生動物を単離できている。また、それらの原生動物を利用して捕食細菌(被食者)の特異性に関する解析を行い、現在継続中である。 (3)原生動物の定量法の確立 これまでに取得した100以上の原生動物の18SrRNA遺伝子データより、定量的な解析が可能なReal-Time PCRに適用するプライマーのデザインを検討した。その結果、全原生動物を計測できるプライマーがデザインでき、定量計測が可能となった。 (4)捕食回避法の検討 対象の細菌に捕食回避能を付与するため、violacein合成遺伝子群の利用について検討を行い、Chromobacterium属細菌の染色体からvioABCDE遺伝子を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績で示したとおり、おおむね研究は初期の計画通りに進展しており、今年度、期待通りの成果を出せると予想する。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、得られた研究成果を統合し、具体的な汚染物質の浄化を想定した実験系を組む。また、最終的には捕食回避に向けた、実用可能な工学的手法を提示できるよう、汚染現場を意識して、研究を推進する。 昨年度は、研究データの取得が主体となり、論文としてまとめることが出来なかったが、今年度はそれらのデータをまとめ、積極的に論文投稿を行う。
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