研究概要 |
広瀬川河川水を中心に、環境中に生息する細菌捕食性の原生動物に関する解析を行った。また、湧水、地下水、土壌浸出水についても同様の解析を行なった。主としてCupriavidus属細菌を被食者として利用したが、細菌種の影響を評価するため、Pseudomonas属細菌、Bacillus属細菌、Rhodcoccus属細菌についても試験を行った。広瀬川で複数の採水地点を設定し、捕食実験を行った結果、全地点において原生動物が確認され、被食者の細菌の種類によらず、多くのケースでChrysophyceae(黄金色藻網)に分類される鞭毛虫が捕食者として出現した。また、湧水、地下水、土壌浸出水を対象に、同様の捕食実験を行った場合でも、本系統の原生動物が出現し、自然界の捕食者として主要な役割を果たしていることが示唆された。 次に、抗原生動物の活性を有するバイオラセインの利用を進める目的で、バイオラセイン合成能を有するChromobacteruium violaceum JCM1249株からからバイオラセイン合成遺伝子 vioA, B, C, D, E(全長約7.5kb)をPCR合成によって取得、本遺伝子をpBR322系のベクターに挿入し、trpプロモーター下で大腸菌JM109株にて発現を試みた。その結果、紫色のバイオラセインが大腸菌内で合成された。将来的には、同遺伝子の分解細菌への導入を試みる。 最後に、原生動物の捕食挙動を解析する目的で、蛍光遺伝子をトリクロロエチレン分解細菌の染色体上に導入し、緑色蛍光蛋白を発現させることに成功した。これによって、対象細菌が原生動物によって捕食される現象を直接観察できるようになった。
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