長岡市の都市下水処理場のスクリーン通過下水を通水するパイロットUASB(容積1148L、高さ4m、内径0.56m)の汚泥を観察したところ多くの数の嫌気性原生動物が生息していた。顕微鏡観察によるダイレクトカウントの結果から、UASB上部から底部に向かうほどを個体数が多く、リアクター高さ500mmの汚泥中には最大で約8000cells/mLと極めて高密度に存在していた。また、夏季から秋季にかけて個体数は増加し、冬季から春季にかけては極めて減少する傾向にあった。 真核生物を死滅させる抗生物質シクロヘキシミドや低温条件の短時間付与によって原生動物させた系と共存を維持した系を500mLのラボスケール装置で構築し、グルコース、生下水をそれぞれ基質として原生動物の共存がUADSBの処理性能や汚泥性状に与える影響について連続実験通水実験で評価した。その結果、いずれの系もCOD除去率とメタン回収率はほぼ同じレベルであったが、原生動物の共存する系は槽内の汚泥濃度MLSSが約80%まで低下していた。しかし、それぞれの汚泥のメタン生成比活性については、酢酸基質では同レベルであったが、水素+CO2基質では共生系の汚泥の方が約10%高い値を示した。また、UASB内に保持された汚泥の16S rRNA遺伝子クローニングによる解析では両系に大きな違いは認められなかった。
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