研究概要 |
平成22年度では「研究実施計画」で述べた【3列複数ファン風洞を用いた非定常な風向変動を持つ気流の作成に関する研究】、【3複数ファン風洞を用いた非定常で長周期な乱れを持つ気流が建物風圧特性に与える影響に関する研究】を実施した。本研究の目的は3列複数ファン風洞による3次元的な気流の制御を試みる事と、再現する気流特性の可能性についての検討であるが、前年度の気流制御についての基礎的データ、特にファン回転数の急激な変化に伴う静圧変動の影響の評価を踏まえて、3次元的な気流作成とその制御可能範囲の検証を行いつつ、基本形状を有する建物模型による風圧の非定常変換特性を把握する事を念頭に先の2テーマを取り上げた。以下に研究の具体的な成果を示す。 ・圧力模型を設置する範囲で風速の分布が一定であること、より大きな風向変化角度が得られること、風向が変化する際に風速が変化しないことの3点を前提条件とし、角度を持たない定常状態、下向きの風向を持つ状態、上向きの風向の3つの定常状態を定め、それぞれの状態間を変化させることで非定常な風向変化を持つ合計30通りの入力波を作成した。その結果、最大約19度の風向変化が起こせることを確認した。 ・非定常な風向変化が建物に与える影響を把握するべく、風洞内に角柱模型及び円柱模型を設置して、作成した気流の下で圧力測定実験を行った。角柱模型の設置角度を0,5,10,15,20,25,30,35,40,45度と変化させて測定した結果を設置角度と風向ごとにまとめ、円柱模型の測定結果から模型設置時の作用風向と数値についての補正値を求めた。また、それぞれの測定結果と、1列複数ファン風洞における測定結果、境界層風洞における測定結果、あるいは理論値と比較し、実験の妥当性を確認した。 ・以上の結果より、非定常な変化が起こる時に生じる風洞内の静圧の変化を原因として、定常仮定の下での従来の評価による予測値を上回る建物応答を起こす可能性を示した。
|