研究課題/領域番号 |
22360222
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神田 順 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80134477)
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研究分担者 |
喜々津 仁密 国土交通省, 国土技術政策総合研究所, 主任研究官 (10370694)
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キーワード | 複数ファン風洞 / 風向変動 / 風圧特性 / 非定常気流 |
研究概要 |
平成23年度では「研究実施計画」において示した【3列複数ファン風洞を用いた非定常な風向変動を持つ気流の作成に関する研究】、【3列複数ファン風洞を用いた非定常で長周期な乱れを持つ気流が建物風圧特性に与える影響に関する研究】について平成22年度の研究結果をさらに発展させる形で研究に取り組んだ。 前年度では、3列複数ファン風洞において3次元的な気流の制御と、再現できる気流の可能性についての検討、基本断面模型による風圧の非定常変化特性の把握、について取り組んでいる。 しかしながら、これらの実験では、3列複数ファン風洞の性能検証といった意味合いが強く、非定常とは言っても、実際に作成し各種実験に使用した気流パラメータは実現象に対して特別なモデル化を行ったものではなく、理論的意味のあるパラメータとは言い難い。 そこで、今年度では複数ファン風洞による急激な風速・風向の変化といった特殊性により竜巻を想定した非定常風の模擬と基本断面への非定常作用の把握を目的とし、研究に取り組んだ。 作成する気流のパラメータは、これまでに日本で発生した竜巻の最大風速や規模といったパラメータの統計的分析や、竜巻の風速場の理論式などから決定し、風速・風向の各々の変化を組み合わせた気流を作成した。この際、比較対象として定常流や、風向が折り返すといった特殊な気流も作成し、非定常気流については、模型周辺で一様に気流が変化しているのか検証した。 基本断面の風圧測定実験では、角柱では5°毎に計測し、作成した短時間で風向や風速が変化する竜巻特有の非定常気流が角柱に対して、どのような非定常作用を及ぼすか風圧係数、風力係数のオーバーシュート現象に着目して検証を行った。 最後に、模型の設置角度と気流の変化角度から、実験結果を重ね合わせる事で、およそ110°までの大きく風向が変化した場合に風圧係数、風力係数がどのように推移するかを時刻歴で推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ファンを従来の1列から3列にしたことにより、気流作成において、どの程度の可能性が考えられるか手探りでの検討であったが、今年度は、昨年度の成果をもとに、非定常気流として、とくに風向変動については、概ね所定の範囲での制御を可能とすることを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度が最終年度となるので、数値制御複数ファン風洞としての、当初の目的を全体的に達成すべく、再度制御方法の確認、スペクトル特性再現の限界確認などを行った上で、成果報告を取りまとめる方向で進めている。
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