研究概要 |
従来,フラットプレート構造は,倉庫など,限られた用途のみに使われてきた。しかし,最近の集合住宅の床スラブは,遮音性向上の目的で,以前に比べて厚くなる傾向にあり,スラブの曲げ性能に期待するフラットプレート構造を作りやすい環境ができつつある。 本研究は,RCフラットプレート構造におけるせん断補強の効果を明らかにするための第一歩である。本構造に関する日本と海外の設計規準のギャップを埋め,合理的で使いやすい設計体系を目標とする。 今年度は,フラットプレート建物から,外構面の1層1スパンを取り出した部分実験を行った。縮尺は実物大の1/2とした。コンクリートの圧縮強度は32MPaである。実験パラメータは,接合部のせん断補強筋とハンチおよびハンチ筋の有無である。ひずみゲージはハンチ筋始端,ハンチ始端,床終端に位置する各鉄筋に貼り付けた。試験体は,曲げ降伏したのち,一部,接合部の破壊によるエネルギー消費能力の低下がみられた。試験体の耐力と降伏変形は,計算値と実験値がほぼ一致し概ね評価できた。ハンチやハンチ筋を配することで,ヒンジ位置をある程度コントロールすることができることがわかった。ハンチやハンチ筋を配することで,ヒンジ位置が接合部か離れ,荷重変形関係もスリップ型から紡錘型になった。スラブには,せん断破壊を防ぐため,135°と90°フックを組み合わせた幅止め筋を配筋したが,幅止め筋の効果についても確認することができた。
|