研究概要 |
本年度に実施した実験により以下の結論を得た。 1.鉄筋内蔵CFT柱継手:高強度鉄筋を内蔵させることで内面リング付き鋼管同士を無溶接で接続する継手である。 ・等曲げ試験:角形CFT柱継手は、鋼管幅厚比と鉄筋定着長を変数として実験し、定着長が40d(dは鉄筋径)では鉄筋が降伏、20dでは付着破壊することから、この間に必要付着長があることを示した。円形CFT柱継手では付着破壊しなかった。外面リング付き円形鋼管内蔵の角形CFT柱継手も実験したが、安定した挙動を示した。 ・引張試験:当初計画を変更して追加した。断面形状、幅厚比(径厚比)、鉄筋定着長が変数である。定着板付きPC棒鋼内蔵や外面リング付き円形鋼管内蔵も含めた。角形CFT柱継手では定着長が30dでは鉄筋が降伏し、15dでは付着破壊し、付着強度は幅厚比で変わった。円形CFT柱継手では付着破壊しなかった。PC棒鋼内蔵ではPC棒鋼が降伏した。鋼管内蔵では付着破壊したが、二重鋼管のリング位置関係が原因と考えられ、今後の課題である。 2.鉄筋内蔵CFT露出柱脚:高強度鉄筋を角形CFT鋼管柱とコンクリート基礎梁に通して配筋した柱脚試験体の柱頭に一定軸力と繰返し水平力を作用した。 ・ベースプレート無し:軸力比は0,0.25,0.5である。履歴ループはスリップ形で、軸力比が高いとループは膨む。最大荷重は部材角3%以上で発生し変形性能は高い。実験耐力が一般化累加強度に達しないのが今後の検討課題である。 ・ベースプレート有り:当初計画を変更して追加した。実験変数は幅厚比、内蔵鉄筋の有無である。柱脚曲げ耐力はCFT柱の一般累加強度を超えた。繰り返し荷重に伴う耐力の低下はなく、履歴ループはスリップ形でセルフセンタリング機能があると言える。 以上、高強度鉄筋を内蔵した柱継手および露出柱脚は、CFT柱の応力伝達が可能であり,柱脚では繰り返し水平荷重に対して安定しており,十分に実用性があることを示した。
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