研究課題/領域番号 |
22360229
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 昭彦 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60136520)
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研究分担者 |
蜷川 利彦 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (90237769)
津田 惠吾 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50112305)
松尾 真太朗 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (40583159)
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キーワード | コンクリート充填鋼管 / 鉄筋内蔵 / 柱継手 / 柱脚 / 耐震設計法 |
研究概要 |
本研究は、円形および角形コンクリート充填鋼管(CFT)の接合部に鉄筋を内蔵させて、その応力伝達を利用して原則として鋼管の溶接を不要とする接合部を開発する。本年度に実施した実験により以下の結論を得た。 1.「柱継手の研究」 (1)継手の引張試験 昨年度は、当該継手は靭性に富む挙動が期待できることを明らかにした。本年度は、鉄筋の必要定着長の限界および束ね鉄筋による大量配筋を検討した。鉄筋内蔵継手の実験変数は(1)鋼管の断面形状、(2)鉄筋量(束ね鉄筋による大量配筋)、(3)鉄筋の定着長さ、(4)リブ段数(2段と1段)とし、さらにPC棒鋼内蔵CFT継手を含めて、当初予定の2倍の12体とした。その結果、当該継手の耐力評価式および内蔵鉄筋の必要定着長の評価式の目処を立てた。また、リブ段数はコンクリートの支圧破壊を避けるために2段が望ましいことを明らかにした。さらに、束ね鉄筋の付着力は単鉄筋より低下するので、適切な低減方法の検討を行った。 (2)継手のせん断試験 計画は、(1)断面形状、(2)せん断スパン比を実験変数とする実験であったが、予算確定が延期されたため、次年度に行うこととした。 (3)継手の等曲げ試験 計画は、高強度鋼管(H-SA700)に高強度鉄筋を大量配筋したCFT継手の試験を4体行うものであるが、予算確定後の11月に試験体製作を発注した結果、年度内の実験には間に合わず、次年度早期に実験することとした。 2.「露出柱脚の研究」 (1)ベースプレート無し露出柱脚の実験 計画は、高強度鋼管(H-SA700)を用いた円形および角形CFT柱脚を前倒しで実験するものであるが、予算確定後の11月に試験体製作を発注した結果、年度内の実験には間に合わず、次年度早期に実験することとした。 なお、昨年度の課題であった実験耐力が一般化累加強度に達しない問題について、新たな耐力評価用柱脚モデルを提案して解決した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
柱継手の引張り試験を平成22年度と平成23年度に多数実施し、耐力評価式および内蔵鉄筋の必要定着長の評価式に見通しを付けた。柱継手の等曲げ試験では普通強度鋼管は実験を完了した。高強度鋼管(H-SA700)は、本年度の予算確定の時期の関係で年度内実験は無理となった。柱継手のせん断試験も同様であるが、いずれも、平成24年度に実験予定である。柱脚は、ベースプレート付き柱脚の実験は完了した。ベースプレート無しで普通強度鋼管の柱脚の実験は完了し、高強度鋼管の場合は、本年度の予算確定時期の関係から試験体は製作したが実験は平成24年度へ延期した。平成24年度(最終年度)には本研究の当初の目的をすべて達成可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進方策は当初と変更はなく、研究を遂行する上での問題点もない。 次年度は最終年度であり、既に製作を完了している高強度鋼管の柱継手およびベースプレート無し柱脚の実験を早期に終了させ、積み残しとなった柱継手のせん断試験を実施する。柱継手は、鋼管の強度、鋼管の断面形状(円形、角形)、径厚比(幅厚比)、内蔵鉄筋量、内蔵鉄筋定着長を考慮した耐力式および内蔵鉄筋の必要定着長の評価式を提案する。露出柱脚は、ベースプレートを省略した場合とそうでない場合について、鋼管の強度・断面形状、径厚比(幅厚比)、内蔵鉄筋量を考慮した柱脚の耐力式および復元力特性モデルを提案する。以上で、当初のすべての目的を達成する予定である。
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