研究課題
研究期間の最終年度として成果のとりまとめを行った.以下に要括する.一連の風洞模型実験,Large Eddy Simulation(LES)に基づく数値実験により,建築物を主体とする地上の粗度要素が大気境界層下端への熱・空力学フォーシング(強制力)として如何に作用するかに関して,その素過程解明の端緒を得た.[流体物理科学への貢献]また,都市キャノピーモデルへの適用,更には街区内歩行者レベルの温熱環境予測評価大系への応用を念頭に置き,上記の熱・空気力学フォーシングを実際には複雑系である都市や建築の幾何形状を適切にパラメータライズすることで,バルク輸送係数としてモデル化した.[都市環境工学への貢献]バルク運動量輸送機構の解明:系統的で膨大な条件設定下の風洞模型実験を行い,主として都市構造物により招来される地表面粗度が大気境界層下端に付与するフォーシング機構としてバルク運動量輸送係数に着目,これと建蔽率,粗度面積密度,粗度要素のスレンダーさを表すアスペクト比,粗度要素の垂直方向のランダムネスを表意する高さ分布,平面方向のそれを意味する建物配置角度との間の普遍関係を明らかにした.PIVによる可視化,さらにはLESによる数値実験を併用することで,これら幾何パラメータのうち粗度形状のスレンダーさが都市キャノピーで生成される渦構造を決める上で大きな役割を果たし,都市キャノピー直上に形成される所謂,乱流祖初期構造(TOC)の特性にも大きく影響することが示唆された.バルクスカラー輸送機構の解明:前項同様,系統的風洞模型実験とCFDを併用し,バルク輸送係数と都市幾何形状との普遍関係を明らかにした.粗度要素によるフォームdragの影響が大きい運動量輸送と異なり,ソース表面の影響が大きいスカラー輸送とでは,フォーシング機構の基本特性が異なることが確認された.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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