研究課題/領域番号 |
22360239
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
宇田川 光弘 工学院大学, 建築学部, 教授 (00133314)
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キーワード | 建築環境・設備 / 省エネルギー / 太陽光発電 / 太陽熱利用 / 室内環境 / 熱負荷 / 設計 / 性能評価 |
研究概要 |
ゼロエネルギー建築の設計と性能評価にシミュレーションを活用することにより、ゼロエネルギー建築の合理的な設計法、性能検証法の確立が本研究の目的である。本年度の研究では、以下の成果を得た。 1.拡充したシミュレーションモデルの改良と検証 1)工学院大学KTC実験室の空調実験システムを用いて、吹出し空気のバイパスモデルを用いる室熱負荷、空調機負荷計算モデルについて、実験およびシミュレーションを行い検討した。 2)屋根一体型集熱器の計算モデルについては、空気式集熱器、太陽電池一体型集熱器のシミュレーションモデルについて、実測データにより検証した。 3)ヒートポンプ空調機について、ルームエアコンのシミュレーションモデルについて検討し、試算した。 4)砕石蓄熱、容器入水蓄熱、躯体内蓄熱などの蓄熱方式について計算モデルを作成、試算した。 5)熱交換器については、計算条件により熱交換有効率が計算されるモデルを試作、検討した。 なお、本研究ではシミュレーションにEESLISMを使用しているが、本研究で拡充、改良した成果はWebサイトで公開している。 2.設計、性能評価へのシミュレーションの活用 1)太陽熱利用・太陽光発電住宅の設計におけるシミュレーションの適用例を示した。改修住宅4、新築住宅の事例についてシミュレーションを行った。また、ネットゼロエネルギー住宅の可能性も検討した。 2)住宅の実測データによりシミュレーションモデルを検証した。また、実測とシミュレーションを併用することにより暖冷房負荷のような現場計測が難しいデータの推測法についても検討した。 3)ベトナムの店舗併用住宅について実測を行い、蒸暑地域の開放的な建築におけるシミュレーションモデル作成について検討した。この結果、通風や建材の吸放湿効果を含めた計算モデルの必要性が判り、モデル作成に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した研究計画に従い、概ね順調に研究は進展している。EESLISMにおけるシミュレーションモデルについては、集熱器についての改良を行った。蓄熱装置、熱交換器等についても計算法を改良し、検証しつつある。ヒートポンプ機器については、ルームエアコンの簡易モデルの適用について検討したが、さらに詳細な運転条件が反映できるモデルについて検討の余地がある。設計、性能評価への活用については、数例の事例研究を行い、活用できることを検証している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、当初の研究計画に沿い概ね順調に進展しているため、研究計画に従い、引き続き、1.拡充したシミュレーションモデルの改良と検証、2.設計、性能評価へのシミュレーションの活用について研究を行うが、1.についてはヒートポンプ機器のシミュレーション対象の拡充を図る。また、夏期の室内熱環境と冷房用エネルギーシステムについての検討も深めることとし、太陽熱除湿・冷房、建材の調湿作用や通風などのシミュレーションによる評価についても研究する。
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