研究課題/領域番号 |
22360242
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
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研究分担者 |
高橋 達 東海大学, 工学部, 准教授 (50341475)
斉藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
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キーワード | エクセルギー / 人体熱収支 / 行動 / 放射冷房 / 冷却塔 / 想像温度 / ロジスティックモデル / 感覚 |
研究概要 |
非定常な温熱環境における人体エクセルギー収支と温熱知覚・不快知覚の関係を解析した。特に、冬季における温熱環境の変化として、屋外空間から室内空間へと移動することに伴って変化する人体エクセルギー収支の考察を行なった。その結果、放射式床暖房と対流式暖房とでは人体エクセルギー収支には大きな違いは現れないことがわかった。しかし、人体を出入りする放射エクセルギーには大きな違いがあることが認められ、これは「温もり」の感覚・知覚と関係するだろうと考えられることが明らかとなった。(宿谷昌則) 東京に建つ次世代省エネ相当の断熱を施した戸建住宅を対象に、冷却塔放射冷房の数値シミュレーション を行った。その結果、冷房期間に16:00~18:00に1.5回/h、18:00~8:00に10回/hで換気すると放射冷房時の壁面結露を回避できることや、放射冷却面を床と天井に設けて冷却塔放射冷房を6時間運転した場合に1F和室の空気温、周壁平均温度が28℃以下になる時間割合はそれぞれ78%、81%になり、パッシブ手法のみの場合(40ポイント)の約2倍に拡大できることが明らかになった。(高橋達) ヒトの温冷感は温熱環境の物理要素と代謝量と着衣量によって決まるが、「後得的」な温冷感がそれぞれ培われるので個人差も無視できない。そこで舌下温と代謝量の関係に着目し、それらが任意の温熱環境下でヒトの温冷感、想像温度に与える影響を被験者実験により明らかにした。その結果、以下のことが確認できた。室温20℃以上では、舌下温の低い群は対照群よりも「暑い」と感じやすい。室温20℃以下では、低代謝群は高代謝群に比べて血管収縮による皮膚温低下が顕著で、「寒さ」を感じやすい。低代謝群は、高代謝群よりも低い室温を想像する傾向にある。(斉藤雅也)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非定常な熱環境における人体エクセルギー収支の解析が進められていること。蒸発冷却による冷水の生成とその利用による放射冷房のエクセルギー収支の定量化が進んだこと。想像温度と物理量としての室内空間の温度の関係性が以前より明らかになってきたこと。これらのことから概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である24年度は、人体エクセルギー収支について、夏と冬の違いについて考察を深めること。放射冷房システムのエクセルギー消費最適化について考察を深めること。想像温度と物理量としての温度の関係が「感覚-行動」プロセスのなかにどのように位置づけられるかを明確にしていくこと。これらのことについて、研究を進めたい。
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