研究課題/領域番号 |
22360243
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
近藤 靖史 東京都市大学, 工学部, 教授 (20267339)
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キーワード | 建築環境・設備 / 流体工学 |
研究概要 |
建物室内の換気・空調を効率的に行うことは省エネルギー・省CO2の面で非常に重要である。このため、CFD解析により室内の気流や温度分布を事前に予測し、この結果を設計に活かすことが多い。ただし、通常のCFD解析では、人体などの移動物体による気流の擾乱を無視している。しかし、一般に室内には人体などの移動物体が存在し、これにより換気効率・空調効率が変化する。本研究の目的は室内気流場のCFD解析に移動物体の影響を組み込む方法を確立することである。 平成23年度は、換気を行っている実験室内に人体の移動を模擬した移動パネルを設置し、移動パネル周辺の気流分布の詳細を測定した。移動パネルの移動経路内の測定は通常の風速計では困難であるが、本研究ではPIV(Particle Image Velocimetry)を用いて測定を行った。PIVは気流の可視化結果の画像処理による測定である。ただし、良好な可視化画像が得られない領域などでは誤差(誤ベクトル)が生じることが知られており、本研究では誤ベクトル削除の方法を検討した上で、研究を進めた。一方、CFD解析については、前年度に、CDSM法による方法とFAVOR法による方法を比較したが、前者は非常に大きな計算機負荷がかかり、一方、後者は計算機負荷が小さく前者とほぼ同等の結果が得られた。そこで、FAVOR法を用いたCFD解析に着目し、メッシュ分割数、移流項の差分スキーム、乱流モデルの3項目について検討を進めた。 PIVの測定結果では、移動パネルによる擾乱の影響はパネルが動き出す際、パネル前方の気流はパネル側面へ押し出され、周辺空気はパネル後方へ誘引される状況が確認できた。また、全ての測定時点においてパネル前方よりもパネル後方の風速が大きい。この状況はCFD解析でほぼ再現できていおり、特に十分なメッシュ分割数で、適切な乱流モデルを用いた場合の結果が良好であった。また、地下鉄駅構内の列車風の影響をCFD解析による検討などに応用する方法についても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は換気を行っている実験室での測定と、これに対応するCFD解析を行った。当初の予定ではさらに局所排気装置を設けた場合についての検討を進める予定であったが、これについては実施しなかった。一方、当初の研究計画には入れていなかった地下鉄駅構内の気流性状を検討し、本研究で検討したFAVOR法によるCFD解析は既往の実験結果との比較からほぼ十分な精度を持つことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に実施しなかった局所排気装置を設けた状態を実験とCFD解析により検討する。また、当初の計画で想定していた適用事例の一つとしていた「ルームエアコンの羽の動き」は本研究で検討したFAVOR法では形状の再現が困難であるため、形状が比較的単純な移動物体(業務厨房の人体模擬擾乱発生装置や地下鉄駅構内の列車など)に適用対象を変更することを考えている。
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