本研究の目的の一つである在宅療養における臭気対策について、臭気によるストレスのない快適な看護・介護環境を創出するため、これまで行ってきた施設とは異なる在宅療養における特有のにおいについて明らかにし、適切な臭気対策を検討する基礎データを収集した。在宅介護を行っている介護者に住宅計画、設備、環境に関するアンケート調査を実施し、介護環境におけるにおいに関する意識、在宅における臭気の問題点、臭気に影響する主要因を検討した。(1)介護者と介護を担当していない同居家族の、同居家族に要介護者が居る場合の住環境に対する意識、生活環境要素の中のにおいの位置づけを比較検討した。(2)要介護者がいない場合と要介護者と同居している場合において、身近なにおい意識、自宅のにおい意識を比較検討した。(3)施設、病院での調査結果と比較し、在宅の場合の介護環境のにおいの問題点を検討した。(4)要介護度と介護環境のにおい問題の関係を検討した。(5)住宅の概要と介護環境のにおい問題の関係を検討した。(6)在宅介護において実施されている消臭対策を探り、その効果を把握し課題を見出した。 臭気対策の基本となる発生源管理の観点から、医療施設において汚物廃棄容器から漏れ出る臭気の汚物処理室への環境影響を検討した。また、汚物廃棄容器からの漏えい臭対策として、消臭カバーについて現場のスタッフによる感覚評価をもとにその消臭効果を検討した。感覚評価は、パネル選定試験である嗅覚テストに合格した12名により実施した。 医療施設において、排泄物臭以外の臭気問題も存在するため、緩和ケア病棟における喫煙環境に関する調査を実施し、たばこ臭に対する意識、対策の必要性について検討した。
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