真の省エネルギーを実現するために多方面の研究を行った。真の省エネルギーの意図するところは、多くの建物で実行可能な省エネルギー手法である。特に日本の床面積で半分を占め、数では圧倒的に多い中小規模ビルで採用可能な手法を研究テーマとした。 1) 内部発熱:人、照明、OA機器などの内部発熱が冷房負荷の約1/3を占める。これをどの位見込むかで空調設備容量が大きく変わる。中でもOA機器は実態が良く分かっていないために過剰に設定されている。過剰な設定は、過剰設備になり、過剰設備は運転効率を低下させる。この問題を解決するために、東海地区の建物で実測調査を行った。 2) ファサード:普通、ブラインドは室内に置く。これは一旦室内に日射を取り込んだ後に遮蔽するので合理的ではないことは明白である。一方、外ブラインドは理に適っている。それにも拘わらず、外ブラインドが採用されないのは、台風などの対策が難しいからである。本研究は窓外にアルミ枠を設け、ここにブラインドを設置した。簡単な仕掛けあるが、台風時でも問題ないことを確認した。日射熱も内ブラインドの半分に抑えられることを実証した。この手法は低層建物、住宅などに採用出来る。 3) 照明:多くのビルでは照度500~750Lxで設計されている。人が作業する上で必要な照度は200~300Lxであるから、この2~3倍のエネルギーを消費していることになる。如何にすればより低い照度でかつ作業性に問題ない照明設計ができるかの研究をした。 5) 個別分散空調システム:その利便性から現在多くの建物で採用されている。利便性の反面、利用者が自由に設定を変えられるなどの問題もある。既存の中規模建物で実態を調査し、問題点を洗い出し、改善方法を提案し、その効果を検証した。
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