研究課題/領域番号 |
22360246
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 剛 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20226674)
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研究分担者 |
堤 拓哉 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 建築研究本部・北方建築総合研究所, 研究員 (40462345)
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キーワード | 積雪寒冷都市 / ECO街区 / 風雪シミュレーション / 風洞実験 / 都市デザイン / 中層建築街区 / 雪処理エネルギー / 札幌市都心部 |
研究概要 |
本研究では、世界の積雪寒冷都市の中で極めて積雪が多く人口密度が高い、札幌市都心部を対象に風雪シミュレーションを行なった。今年度の研究内容は以下の3点である。(1)札幌市都心部の街区分類を行い、街区の更新パターンを把握し、街区空間の対象を抽出した。(2)街区空間の更新パターンに対して風雪シミュレーションを行った。(3)風雪による都市空間の環境評価と、雪処理に要するエネルギーから街区空間を評価し、望ましい都心のECO街区の一つを導き出した。今年度の研究成果は、以下の4点である。 (1)札幌市都心部の街区空間形態の構成を、街区容積率、空地、建築ボリューム、建築高さの要素から、8つのパターンに分類できた。さらに、街区更新の方向性を把握した。 (2)そのうち中層建築街区には4つの街区空間形態「現況更新型」「高さ統一型」「山型」「囲み型」があり、それぞれ風雪の影響による歩行空間の快適性、雪処理エネルギーが異なる。積雪寒冷都市では、これらを新たに都市デザインのプロセスに組み込む必要がある。 (3)中層建築街区のなかでも「現況更新型」は、統一性に欠けデザイン性に劣り、雪処理エネルギーが大きい。「現況更新型」ではなく、街区全体でのボリュームデザインが必要である。 (4)4つの街区空間形態では、「囲い型」が風雪による歩行空間への悪影響が少ない。 (5)4つの街区空間形態で、街区周辺の公共空間における雪処理エネルギーを比較すると、「囲い型」が最も少ない。 以上から、積雪寒冷都市では風雪環境やエネルギー評価から、街区単位で都市デザインを構築すべきである。さらに、「囲み型」による街区構成が、都市空間の快適性のみならず、雪処理エネルギーなどのエネルギー評価でも優れており、積雪寒冷都市における都心空間の目標像であるECO街区のひとつになり得る。次年度ではさらに、4つの街区空間形態ごとに、雪処理により排出される二酸化炭素量も明らかにする。
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