本研究の目的は、国際比較調査を通して、建物の長寿命化をはかるSI(スケルトン・インフィル)住宅のあり方を各国の住宅関連産業の発達段階を踏まえて解明し、汎用性のある理論として体系化することである。そのため、研究最終年度である本年度は、延期になった中国調査の実施と、経済負担力別・住宅部品産業等の発達段階別のSI住宅の理論とその実現方法を体系化した。 本研究は、連携研究者の丁 志映(千葉大学)、藤本秀一・米野史健(国土技術政策総合研究所)の共同で取り組んだ。 1.中国における調査の実施 中国における住宅装飾の実態を把握するため、2013年8月11日から23日にかけて、中国大連市の中山区(Z)、西崗区(X)、砂河口区(S)、甘井子区(G)、金州区(J)の5地区の17戸を選定し住戸内・共用空間でのカスタマイズと居住の実態(居住者による自主改造の実態、施工プロセス、住宅部品の採用、DIYの程度、改造費等)の調査を行った。調査方法は、住民へのヒアリングと内装業者へのヒアリング、ビデオ撮影、写真撮影、図面採取等である。また、中国は住宅制度がSI分離供給のあり方に強く影響しているため、住宅制度の過去から現在までの変遷について調査を行った。 2.研究のまとめ 本研究の最終目標である、SI住宅の国際理論を提示するために、意思決定のレベル、SIの建築区分の考え、部品化の採用可能性、SI分離供給の可能性などを検討し、どのような社会状況において、どのようなSI住宅開発が有効であるかを理解するためのガイドラインを示した。
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