第一に、 中国都城の系譜について、 既往の研究をまとめ、 大きな見取り図を得ることができた。現在、 北京に焦点を当てる形で 『大元都市-中国都城の空間理念とその変容-』 (仮)まとめつつある。 『周礼』 考工記の都城理念モデルの解釈の幅を確定し、 歴代都城がどのようにそのモデルを参照したか明らかにしている。第二に、北京、安に加えて、開封、南京、杭州について臨地調査を行い、その理念モデルからの逸脱、変異、そして変容過程を具体的に跡付けることができた。第三に、福建の三港市、福州、泉州、彰州についても臨地調査を行い、中原の中国都城の系譜と異なる中国都市のあり方を明らかにすることができた。特に店屋(ショップハウス) 、 そして騎楼の起源と広がりについて、 新たな手掛かりを得ることができた。 以上によって、中国都市研究に対して厚みを与えるとともに、アジア都市研究の大きな基礎を築くことになったと考える。
|