研究課題/領域番号 |
22360253
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
蟹澤 宏剛 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00337685)
|
研究分担者 |
安藤 正雄 千葉大学, 工学部, 教授 (80110287)
秋山 哲一 東洋大学, 理工学部, 教授 (30111917)
|
キーワード | 技能者 / 雇用 / キャリアパス / 建設産業基本法 / 韓国 / 重層下請 / 職業訓練 / 施工 |
研究概要 |
本研究は、景気や季節に仕事量が左右され、処遇が不安定になりがちな建設技能者の労働環境の改善や教育・訓練制度に関わる制度や仕組みの国際比較により、我が国における、必ずしも個別企業の雇用に依存しない建設技能者のキャリアパスのありようについて考察し、我が国の政策立案、産業界の将来計画等に寄与可能な知見を提示することを目的としたものである。 本年度は、日本の建設業法に相当する建設産業基本法を08年に抜本改正し、日本の「世話役」に相当する「施工参加者」を禁止し、元請の直接施工、専門工事会社の直接雇用を義務づけた韓国の制度について研究した。直接施工・直接雇用は、世界的にみても完全に成立している例はないといって良く、それが成立しているとしたら画期的である。しかし、実態としては直接雇用は成立していないものの、次に述べる運用面において大いに参考になる点があることが明らかになった。 第一に、「直接雇用」を労働保険への加入という解釈で運用されており、個人が請負で働く所謂一人親方も存在するが、それらにも「労働者性」を認め労働保険の加入が徹底されている。保険料に関しては、売上高に対する一定割合の賦課により事業主分を元請が負担し、技能者分を専門工事業者が源泉徴収する事で捕捉率を上げている。この際、韓国民はID番号ち、IT化が進展しているため、納付実績を本人が容易に確認可能な仕組みが構築されおり、不正が行われにくい。また、保険料は元請が負担するが、技能者のデータ管理は専門工事会社が行うため、出面を元請にすべて把握されることがないなど、専門工事会社側が取引上不利にならないような運用がなされている。ただし、ダンピング問題を完全に解決するまでには至っておらず、その背景には、不法滞在外国人問題などがある。
|