研究課題/領域番号 |
22360263
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80323096)
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研究分担者 |
阿部 英司 東京大学, 工学研究科, 准教授 (70354222)
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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キーワード | 金属ガラス / フラジリティ / 破壊靭性 / 構造緩和 |
研究概要 |
Ichitsuboらによって金属ガラス内部にはナノスケールの構造的不均質性が内在し、結合力の弱い領域(WBR)と結合力の強い領域(SBR)によって構成されていることが報告された。このような組織的な特徴を有する金属ガラスに応力付加熱処理を施した場合、内在する構造的不均質性に起因した緩和量の差異によって残留応力が形成されるはずである。そして、この試料を昇温すれば、クリープ回復による試料長の変化が観測されるはずであり、この発生温度分布や長さ変化の特徴を精査することによって、金属ガラスに元々内在していた構造的不均質性に関する情報を取り出すことができる。圧縮応力熱処理急冷試料での伸長のみを呈するTMA曲線と異なり、引張応力熱処理試料では、Tg以下のガラス固体温度域おいてに、約1%程度の収縮現象が確認され、その収縮速度は応力熱処理温度近傍において最大になることがわかった。また、応力熱処理試料がTg以上の過冷却液体状態で呈する大規模な粘性流動量が応力熱処理条件に大きく依存して大小に変化することが分かり、構造的不均質性に起因して残留した応力は、粘性率が低下した過冷却液体状態においても、まだ残留していることが明らかになり、構造的不均質性が過冷却液体状態においても維持されていることがわかった。試料長を与える緩和モードの分布、活性化エネルギーなどを算出し、構造的不均質の実態に迫ることを今後の展開とした。
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