研究課題
アルファ緩和(Tg)および、sub-Tg緩和(遅いベータおよび速いベータ)等の動的緩和を示す貯蔵弾性率および損失弾性率の温度・周波数依存合成曲線から、コンプライアンスの温度・周波数依存性を導出したところ、これら3つの緩和分散に対応した3か所において傾きが変化していた。コンプライアンスをクリープ曲線を実測して導出することにより、これらの挙動が実際に生じていることを確認することに成功した。また、応力熱処理試料の昇温クリープ回復挙動が、計算によって導出した動的損失コンプライアンスに、構造的不均質性(活性化エネルギーの分布)に基づく局所的クリープ変形の概念を導入することによって、定性・定量的に再現・説明できることを明らかにした。これより、遅いベータ緩和が大きく不均質性が顕著なPd基金属ガラスでは、応力熱処理によって大きな内部残留ひずみ(=回復ひずみ)が導入されるが、均質性の高いZr基金属ガラスでは、比較上、回復ひずみが小さいことが分かった。また、大きく明瞭に分離した遅いベータ緩和を呈するPd基金属ガラスにArを照射した場合、ナノスケールの領域でこのArが球状に侵入凍結されるが、明瞭な遅いベータ緩和を呈さないZr基金属ガラスに同様のAr照射を行っても、Arが侵入凍結されないことが分かった。これは、Pd基金属ガラスには、結合の弱い領域が多く存在し、この部分においてArが侵入凍結できるが、Zr基はこの逆に結合の弱い領域が少ないために、Arが侵入凍結しなかったことを示唆しており、遅いベータ緩和が弱結合領域に起因して発生していることを裏付ける証拠であると言える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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