研究課題/領域番号 |
22360264
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20283632)
|
研究分担者 |
山本 篤史郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40334049)
掛下 知行 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90127209)
寺井 智之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20346183)
松下 智裕 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 制御・情報部門, 主幹研究員 (10373523)
鈴木 基寛 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (60443553)
|
キーワード | ホログラフィー / 蛍光X線 / 相転移 / 強電子相関系 / マルテンサイト |
研究概要 |
希薄磁性半導体Mn添加ZnSnAs2は、高いキュリー温度 を持つ室温強磁性体としての応用が期待されている。ここでは、X線ホログラフィー法を用いて、その母材となるZnSnAs2の結晶構造解析について実験と解析を行った。ホログラムは、0.25keV おきに9.8~13.80keVの範囲で17つの入射X線エネルギーで測定した。実験で得られたホログラムは、対象操作により半球に拡張し、原子像を再生した。更に、c軸配向とa軸配向のカルコパイライト構造およびスファレライト構造のホログラムを作成するシミュレーションも行い、それぞれ半球にし、実験結果との比較を行った。ZnSnAs2の原子面が存在する位置であるz=0.00A、z=1.47A、z=2.94A、z=4.41Aを再生させた。また、z=0.00A及び2.94AはSnのカチオン面は原子像が強く再生されているが、z=1.47及び4.41Aのアニオン面は原子像が弱く再生されていた。原子位置のゆらぎを想定しない理論計算によるホログラムからの再生像では、アニオン面も強く再生されているために、大きくAsの位置が揺らいでいることが分かった。また、カチオン面においても、カルコパイライト構造を反映した原子像のオーダリングは観測されなかったので、製作したZnSnAs2薄膜はZnとSnが無秩序に配列するスファレライト構造と断定できた。この結果より、ZnSnAs2にMnが及ぼす影響をより考察しやすくなったと同時に、X線ホホログラフィー法による結晶構造解析が薄膜に非常に有効な実験であることが証明された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZnSnAs2膜がカルコパイライト構造ではなく、スファレライトと断定できた点や、アニオン面が大きく揺らいでいることなど興味深い結果がいくつも得られた。一方、論文にするのが若干遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
真っ先に行うべき事は、ZnSnAs2の結果を論文にすることだと考える。遅れた理由として、さらに,追加でより標準試料的なものを測定する必要があったためである。最近、GaSAs/Geのホログラムを測定したため、これが標準試料としてのデータになると考えている。
|