研究概要 |
平成24年度は、前年度までに用いてきたCo, Fe3O4, Feドット/GaAsへテロ構造に加え、FePd, Cu/Ni多層構造等の垂直磁気異方性を有する磁性ドットの作製条件について調査し、円偏光照射に伴う磁気特性変調効果について調査した。その詳細を下記に記す。 (1) 垂直磁気異方性ドット/GaAsへテロ構造の作製 L10構造を持つことで垂直磁気異方性を有するFePd合金を各種基板に成長すると応力緩和によりFePdドット構造を形成することが可能であると期待される。そこで、格子定数の異なるMgO, MgAl2O4, SrTiO3, BaTO3等の基板上にFePdを2源同時蒸着により成長し、FePdのドット形成の可能性について調査した。その結果、最も格子不整合の大きなMgO基板上において最も微細なドット形状を持つ試料が得られ、FePdとの格子不整合を制御することでドット間の距離やドットサイズを制御可能であることが示された。以上の知見に基づき、円偏光照射実験用の試料として、FePdとの格子不整合が6.5%であるGaAs基板上にFePdドットの成長を行い、FePdドット/GaAsへテロ構造を作製することに成功した。また、同様に垂直磁気異方性が期待できる Cu/Ni多層構造をGaAs上に成長したところ、CuおよびNiの公称膜厚をそれぞれ9nm、6nmとした時に、明瞭なドット構造が形成されることがわかった。 (2) 円偏光照射に伴う強磁性ドット/GaAsヘテロ構造の磁気変調効果 Coドット/GaAsへテロ構造および上記(1)により作製した垂直磁気異方性強磁性ドット/GaAsへテロ構造に円偏光を照射し、その際に形成されるスピン偏極電子が磁気特性に与える効果について検討したところ、Coドット/GaAsに対しもFeドット/GaAsと同様に、熱の効果と考えられる保磁力の減少が観測された。
|