研究概要 |
イオン照射によって導入された点欠陥の自己組織化的挙動を応用した新しいナノ技術の確立と半導体中のイオン照射導入格子欠陥の科学の進展をめざし、本年は以下の成果を得た。 1) GaSbとInSbにイオンのフラックス(単位時間あたりの照射量)を変化させて照射し、形成される構造を調べた。フラックスの高い照射のほうが、大きなボイド(セルの初期構造)が低密度に形成された。これはフラックスが高いと原子空孔が局所的に集中したためと考えられる。 2) 室温~200℃でGaSb,InSbに電子線を照射した場合、平均粒径18nmの微結晶が形成される。これはマトリックスと90°回転した{110}バリアントであり、{111}に部分転位が連続的に導入されることで形成されたものと考えられる。 3) GaSbとInSb表面にFIBを用いて規則的なナノセル格子(正方型と稠密型)を作製することを試みるとともに,イオン加速電圧,イオンドーズの効果を検証した。GaSbの場合、規則的な微細構造の出来るDose量の範囲は1.13×10^4~2.25×10^6ions/spotだった。規則的な格子はスポット間隔80nm~300nmで実現し,セル径は43.2-204nmで形成することができた。正方型と稠密型では、正方型ではセルは正方形に稠密型では、セルは円形(六角形)に成長し,直径は飽和した。 セルの直径の平均は稠密型で最大約263nm、正方型で約260nmと大きな違いは見られなかった。 InSbの場合同様の傾向を示したが,形成されるセルの直径の大きさの範囲,規則的な格子ができる範囲はGaSbよりいくらか狭かった。 4) 化合物半導体ZnOのイオン照射挙動を調べ、欠陥に由来する発光スペクトルを得ている。
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