研究課題/領域番号 |
22360268
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
谷脇 雅文 高知工科大学, 工学部, 教授 (20133712)
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研究分担者 |
前田 敏彦 高知工科大学, 工学部, 教授 (50399169)
徐 〓 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90273531)
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キーワード | 格子欠陥 / 半導体超微細化 / イオン照射 / 電子顕微鏡 / 自己組織化 / FIB / GaSb / InSb |
研究概要 |
いくつかの半導体ではイオン注入すると,表面にナノスケールのセル状構造が形成される。これは照射によって過飽和に導入された点欠陥の自己組織化的挙動の結果である。本研究では,この驚くべき現象を応用した新しいナノ技術の確立(I)を目的とする。同時に半導体中のイオン照射導入格子欠陥の科学に飛躍的な進展(II)を加える。この目的のもと、2011年度は下記の成果を得た。 1.セル状構造形成機構の解明に関して:同じはじきだし効果をもつ条件(dpa一定)で,電子線照射とイオン照射を行い組織・構造変化を比べた。電子線照射では、イオン照射に比べセル状構造の発達が遅かった。すなわち一度に多くのはじきだしをすること(多くのフレンケル対を形成すること)が、セル状構造の形成に有利であることが示された。 2.新しい系の探索:ZnO系に加えて、ZnS、ZnTe、ZnSe、CdSeのイオン照射挙動を探索した。これまでのところII-VI化合物半導体にも特異事象は観察されず、セル状構造形成は通常条件ではGe、GaSb、InSbに限定されているものとみられる。 3.規則的ナノセル構造の作製:InSb、GaSb、Geでナノセル形成を詳細に試みた。InSbの場合、室温では100nm間隔のセル状構造は二次ボイドの形成もなくほぼ完全に成長することが判明した。しかし、低温では逆に規則性が不十分となった。原子空孔の移動が抑制されたためと考えられる。温度を制御して規則的なナノセル構造を作製するとともに,充填ナノセル用に供する。 4.ナノセル充填技術の開発:ナノセルにFe、Geを充填することを試み、これを断面SEMで解析し、この手法の可能性を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題であったFIB用低温ステージの導入が遅れたため、研究進展は若干遅れ気味であるが、計画年度内には充分おいつけるものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
初期の計画に大きな変更はなく、これ沿って、研究を遂行し、初期の目的を達成する。すなわち、セル状構造形成機構を明らかにし、規則ナノセル格子形成技術を確立する。っして充填ナノセル技術を確立しその物性の評価を行う。
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