研究課題/領域番号 |
22360269
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鶴見 敬章 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70188647)
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研究分担者 |
武田 博明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00324971)
保科 拓也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80509399)
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キーワード | 誘電体 / 分極 / 人工超格 / キャパシタ / セラミック |
研究概要 |
ナノ構造中で電子の移動範囲を局所的に制限すれば、伝導現象は分極現象となり、巨大な双極子モーメントによる超高誘電率が期待できる。本研究は、ナノ構造中の電子移動による超高誘電率発現を実証するためのモデル試料として、誘電体/導電体ハイブリット人工格子を作製し、その誘電応答について理論的な解析を行うとともに、この概念をバルク試料に適用するため、スピノーダル分解を利用して誘電体/導電体ナノハイブリット材料、イオン導電性を利用した巨大誘電率材料を作製し、その誘電特性を明らかにすることを目的としている。平成23年度は特にイオン導電性を利用した巨大誘電率材料を中心として、電子移動が関与する固体の分極現象に関わるいくつかの研究を行った。リチウム・チタン・リン酸塩(LISICON)系固体リチウムイオン導電体を誘電体としてキャパシタを形成し、その静的な充放電特性を測定し、電気2重層キャパシタで通常報告されている比容量の20倍程度比容量が得られることが明らかとした。また、チタン酸バリウムに酸素空孔を導入し、電子の移動を増強した場合の誘電特性の変化について検討し、酸素空港の導入は双極子分極を増大することを明らかにした。さらに、半導体/金属界面での電子の移動による生ずるショットキー障壁について、エネルギーギャップ内の欠陥準位への金属からの電子の流れ込みを考慮した新しいモデルを提案した。このモデルにより、従来まで説明ができなかった酸化物半導体/金属界面のショットキー障壁の関わる現象を合理的に説明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工超格子関係の研究は計画よりも遅れているが、それに代わりイオン導電体を用いたキャパシタの研究が進展し、新しい分極機構に基づくキャパシタを提案できるところまできている。
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今後の研究の推進方策 |
電子移動に基づく巨大分極について、新たな材料系で検討を加える予定である。また、イオン導電体を用いた新しい固体キャパシタの研究も推進する。その分、モデル実験である人工超格子の研究は若干縮小する計画である。
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