研究課題/領域番号 |
22360270
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
脇谷 尚樹 静岡大学, 工学部, 教授 (40251623)
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研究分担者 |
鈴木 久男 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70154573)
坂元 尚紀 静岡大学, 工学部, 助教 (80451996)
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キーワード | PLD / 磁場印加 / SrTiO_3 / 強誘電体 / 超格子 |
研究概要 |
チタン酸ストロンチウム(SrTiO_3)は量子常誘電体であり強誘電性は示さない。これに対して、申請者らは磁場を印加しながらPLD法でSrTiO_3単結晶基板上にホモエピタキシャル成長させたSrTiO_3薄膜は膜厚方向に組成の周期的変化(超格子構造)を生じ、強誘電性を示すことを見いだしている。しかし、(1)自発的に超格子構造が生じるメカニズム、(2)この薄膜における強誘電性の発現機構、(3)同様の現象が他のペロブスカイト薄膜にも生じるかどうかの汎用性、等については明らかにされていない。本研究の目的はこれらの点を明らかにし、「成膜時の磁場によって誘起される特異構造や物性発現に関する新しい材料科学の構築」にある。本研究の成果は、現在開発が急務となっている新しい非鉛圧電体の探索にも道を拓くと期待される。 これまでこれらの薄膜はKrFエキシマレーザー(波長248nm)を用いたPLD法で作製してきたが、エキシマレーザーはレーザーのエネルギー密度の変動が大きく、安定な超格子構造の作製が困難であった。平成22年度はレーザーのエネルギーの変動が少ないNd : YAGレーザー(波長266nm)も用いて試料の作製を行った。22年度の研究成果として下記の点をあげることができる。 (a) Nd : YAGレーザーを用いた場合にも自発的に超格子構造は生成する (b) (a)で作製した超格子構造の周期はレーザーのエネルギー密度を変化させると変化することが示唆された。 (c) 強誘電性の発現には超格子構造を有すること以外に組成が大きく定比からずれている必要があることが明らかになった。また、強誘電性を示す薄膜には高い圧縮応力が印加されていることが明らかになった。
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