研究課題/領域番号 |
22360274
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
和久 芳春 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80457176)
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キーワード | 共晶凝固 / MGC材料 / 微細組織 / FZ炉 / 希土類酸化物 |
研究概要 |
昨年度設置した小型赤外線加熱単結晶育成装置(FZ炉)を用いてMGC材料の特性改善を行った。 【MGC材料化の検討】材料の組成系としてAl_2O_3/Er_3Al_5O_<12>系、Al_2O_3/SmAlO_3系、Al_2O_3/NdAlO_3系と取り上げ、凝固速度、回転数、溶解温度などの凝固条件を変えMGC材料化を試みた。Al_2O_3/NdAlO_3系については、凝固条件を変えてもクラックをなくすことが出来なかったので研究を断念した。構成相のAl_2O_3相とNdAlO相の熱膨張係数の差が大きいのが主原因と推定される。Al_2O_3/Er_3Al_5O<12>系、Al_2O_3/SmAlO_3系について凝固条件が組織に及ぼす影響を調べ、凝固速度を1,5、10mm/hrに変化させると、凝固速度が速いほど組織は微細化するが、不均一性が大きくなる。 【組成探索】Al_2O_3/La_2O_3系において微細な共晶組織が形成され、そのサイズはAl_2O_3/SmAlO_3より微細であることを確認した。しかしこの凝固組織にはクラックが存在し、これをなくす凝固条件を探索する必要がある。Al_2O_3/Yb_2O_3系についてもインゴットを作成し、共晶反応が存在すること確認した。構成相はAl_2O_3相とYb_3Al_5O_<12>相であり、組織形態はAl_2O_3/Er_3Al_5O_<12>系に似ている。この系についてはクラックが存在せず、MGC材料化が可能である。 【特性の評価と解析】(株)超高温材料研究センター岐阜事業所において、Al_2O_3/SmAlO_3系MGC材料について1600℃で曲げ試験を行った。比較のため同一組成の焼結材(Al_2O_3/SmAlO_3系)についても曲げ試験を行った。その結果、Al_2O_3/SmAlO_3系MGC材料の1600℃における曲げ強度は672MPaであり、同一組成の焼結材は11.5MPaであり、1600℃における曲げ強度はMGC材料の方が約58倍大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組成探索等は予定通り推移したが、MGC材料化の適正条件についてはまだ詰め切れていない。高温特性の評価については、本数が少なく、また1600℃しか実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
【MGC材料化の検討】MGC材料化の条件をさらに詰めてゆき製造条件を確立する。 【組成探索】凝固組織の制御については凝固速度を早くするのと第三酸化物に微量添加(ZrO_2)を検討する。 【三元系MGC材料の組成探索は保留し、Al_2O_3/Er_3Al_5O_<12>系、Al_2O_3/SmAlO_3系およびAl_2O_3/Yb_3Al_5O_<12>二元系の組織制御とMGC材料化に集中する。 【高温特性と解析】高温曲げ試験の本数を増やし、試験温度は1400℃、1500℃、1600℃の3条件で行う。 【破壊靱性の評価】MGC材料化が成功した材料について破壊靱性値を測定する。
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